WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第169回 LinuxのSMB普及に拍車

2003/09/15 16:04

週刊BCN 2003年09月15日vol.1006掲載

 2003年8月、米国Linuxワールドで、IBM、ヒューレット・パッカード(HP)、レッドハット、SuSEなどは一斉にSMB(中堅小企業)の基幹業務ITインフラとしてLinux採用を促進する戦略を発表した。基幹業務で、世界の大企業にLinuxが急速に普及している。IBMは03年中盤に約1万社の大企業Linuxユーザーを擁していると発表した。IBMは大企業市場で成功したエンタープライズLinuxがSMBでも普及するとの自信を深めている。

IBMの成功事例が牽引

 IBMはLinuxソリューションを販売するパートナープログラム「バリューアドバンストプログラム(VAP)」で、Linuxソリューションを販売するSP(ソリューションプロバイダ)に対して、Linux関連ソフト仕切り値引き率を従来の30%から倍の60%にすると発表し、多くのSP経営者マインドを引き付けている。SMB対象のSPに対しては、IBMに続いてHP、レッドハットなども仕切り優遇策を発表した。ガートナーのアナリスト、R・ハーネス氏は「大企業が採用し、効果の上がっているITに関しては、価格さえ折り合えば同業より早く使いたいと考えるのが、SMB経営者だ。Linuxはこの条件を満足し、今後世界のSMBはLinux大市場になるだろう」と解説する。

 IDCは03年8月、「米国で新規に出荷される全サーバーの30%はLinuxモデルで、その半数はSMBに向けられている。この数字は米SMBにLinux時代が訪れていることの証だ」と語る。HPはマイクロソフトとの提携を強めているものの、その一方でLinux拡販にもIBM以上に熱心に取り組む。HPのLinux戦略責任者M・バルマ氏は「旧コンパックコンピュータが抱えていたウィンドウズサーバーからLinuxへ移るケースが続出しており、この対応に追われている。SMBにとってウィンドウズサーバー2003に移行するのが通常の選択肢である。しかしマイクロソフトの新ライセンス6.0を実質的値上げと感じ、反発するSMB経営者は多い」とLinux歓迎要因を分析する。

 また、マイクロソフトがNTのサポートを03年末に打ち切ると告知したことも、SMBのLinux旋風を煽っている。さらにSMBでもTCO(所有総経費)削減でサーバーコンソリテーションの動きが強まっており、現在可用性が実証されているLinuxの4CPUモデルがコンソリデーションに適したサーバーとして推奨するSPも多い。ガートナーのアナリスト、ミカ・クレマー氏は「SMBをサポートするLinux技術者が潤沢になったことで、SMBが安心してLinux採用を決断するようになった。ITスタッフが少ないSMBでは、日常サポートするSPの要員体制が、SMBが採用するITの大きな決定要因になっている。大企業でLinuxサポート経験があるSEの採用を米SPは積極化しているので、これだけでもSMBでLinux普及が加速されるのは間違いない」と語る。IBMは自社を訴えたSCOのパートナー崩しにも、Linux拡販プログラムを有効に利用し始めている。(中野英嗣●文)

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