変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>4.日本事務器

2004/01/26 20:43

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 年商10-100億円規模の企業を中心顧客に持つ日本事務器(NJC)の情報セキュリティビジネスは、分野を絞った事業展開が特徴だ。その分野は、「ウイルス対策」、「ゲートウェイ」、「個人認証」の3つ。具体的には、ウイルス対策ソフトやファイアウォール、ID・パスワードでのログインなどである。急速に広がりをみせるセキュリティ市場で、すべての分野に力を入れるのではなく、基本的なこれら3分野の営業力、技術力を徹底して磨く考えだ。

3つの分野に絞る

 肥後三郎・営業推進部長は、「3分野以外のカテゴリーについても製品・サービスを揃えており、提供体制は整っている。だが、当社のメインターゲットである中小企業には3分野以外の範囲にまで投資が見込めるケースは現在では多くない。3つの分野に焦点を絞って、競合他社よりも価値のある提案を行い、確実に受注を勝ち取ることが先決」と説明、セキュリティ全てを網羅することが拡販につながるとは考えていない。

 最近のセキュリティビジネスでは、IT資産管理やバックアップ・復旧などの事後対策製品などに話題とニーズが移ってきた。だが、「中小企業のセキュリティ対策は穴だらけ。基礎的な分野であっても提案することはまだある」(肥後部長)と、分野を絞った戦略でも十分にビジネスとして成り立つと強気だ。

 NJCの今年度(2004年3月期)のセキュリティ関連事業の売上構成比は全社の約5%だが、伸び率は前年度比約20%増を達成しそうな勢い。全社的な売り上げの成長見込みである8%増を上回る稼ぎ頭に成長している。NJCの取り扱うセキュリティ製品は約30社、50品目。主軸製品となるアンチウイルスソフトではトレンドマイクロ、そしてファイアウォールではネットスクリーン・テクノロジーズジャパンなどから製品を揃える。「価格、機能はもちろん重要だが、運用・保守が容易な製品は、ユーザーだけでなく、システムインテグレータにとってもありがたい」と、選定基準に扱いやすさを置いていると、肥後部長は説明する。

 NJCは、セキュリティに限らず、新たな製品やサービスが登場すれば、自らが導入し使い勝手を試してから顧客に提案するという手法をとることが多い。「自分たちで使ってみることで、どの部分が優れていて、どんな課題があるのかがわかる」(肥後部長)という。社内利用で得たノウハウを提案力に変えて、販促活動に役立てる取り組みを行っているのもNJCの特徴の1つと言えそうだ。
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