“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>38.東芝情報システム

2004/01/26 20:43

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 東芝情報システム(六反田喬社長)は、同業他社と得意分野を持ち寄り協業体制を組むことで、より完成度の高いERP(統合基幹業務システム)の構築に努めている。

ERPの完成度を高める

 たとえば、扱っているERPの1つ「オラクルEBS」で、東芝情報システムは「財務会計・管理会計」の構築実績が多い。だが、オラクルEBSを取り扱うシステムインテグレータには、当然「財務会計・管理会計」以外のワークフロー、生産管理、販売管理なども含むケースが多々ある。こういう場合は、同業他社との連携を積極的に進めることで解決している。

 村林雅則・ビジネス・ソリューション事業部事業企画グループ部長は、「限られたパイ(市場)を奪い合うのではなく、得意分野別に分業した方が合理的だ」と話す。案件によっては、東芝情報システムが「財務会計・管理会計」を担当し、オラクルEBSでの生産分野の実績が多い他システムインテグレータが生産管理を担当するケースもあったという。

 また、中堅企業向けERPとして有名な住商情報システムの「プロアクティブ」では、製造業や流通業といった“業種別”の連携も実現している。

 東芝情報システムは、主要顧客に製造業が多いことから、製造業顧客へのプロアクティブ納入実績が豊富だ。製造業におけるノウハウも多い。一方で、開発元の住商情報システムは、商社系のグループ会社を持つことから流通・サービスに多くの営業チャネルがあり、営業力も強い。

 このため、製造業の顧客に営業をするときは、東芝情報システムのノウハウを提供し、流通・サービスの顧客をターゲットにするときには、住商情報システムのノウハウを活用することも少なくないという。

 「当社は、オラクルEBS、プロアクティブの両ERPの販売パートナーとして、上位に食い込む実績があると自負している。当社と同じように、上位販売パートナーは、それぞれに実績を裏づけるだけの得意とするノウハウを持っている。パートナー同士、うまく得意分野を持ち寄ることで、より完成度の高いERP構築に務めている」(同)と話す。

 東芝情報システムでは、1993年からオラクルEBSの取り扱いを始め、これまでにプログラマなどを含め全工程で300人以上を動員するプロジェクトを14件手がけた実績がある。ここ8年で30社近くの企業にプロアクティブを納入している。(安藤章司)
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