立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>22.OMJ活動 II ─IOVとBMA、OMJ活動を支える2つの柱

2004/02/02 16:18

週刊BCN 2004年02月02日vol.1025掲載

 2000年末に活動を開始したOMJ(Order Management in Japan)WGの参加企業が、ロゼッタネット(RN)標準の実装を推進していく中で最初に突き当たった問題は、RNIFレベル(ロゼッタネット標準対応のB2Bサーバーの相互運用性が低いこと)とPIPレベル(PIPに規定されたメッセージ項目の解釈が企業によって異なっている場合があること)に大別される。

 前者は導入企業間のB2Bサーバーの接続試験の、後者は交換するメッセージの確認やバックエンドシステムとの接続に関する工数の増加につながってしまう。ロゼッタネット標準の導入を行う取引先企業が増加するに従って、これらの問題が加速度的に深刻化することが予測された。そのため、OMJ WGではロゼッタネットジャパン(RNJ)の会員企業に広く呼びかけ、こうした問題を解決するための2つのSWG(サブワーキンググループ)を設置した。

●IOV(Interoperability Validation:相互運用性検証)SWG
・Phase1(2001.11-02.6):PIP 3A4 on RNIF1.1
・Phase2(2002.7-03.7):PIP 2A10/3A4 on RNIF2.0
 異なるベンダーのロゼッタネット標準対応B2Bサーバー製品の相互運用性検証のためのサブワーキンググループ。ソリューションベンダーが中心となって活動。Phase1では、RNIF.1.1で規定されていなかった日本語の使用の可否を含めて検証を行った。Phase2では、急速に普及が予測されたRNIF2.0の実装について、OMJ WG参加企業が利用するPIP3A4に加え、日本企業が中心となって策定した初のPIPであるPIP2A10をテストパターンとして、検証を行った。IOV SWGの活動にやや遅れる形で、RosettaNet.orgでも相互運用性に関する2つのプログラム(Comploase,Interoperability)が設置され、ロゼッタネット標準の世界的な普及に向けた重要な活動の1つとなっている。

●BMA(Business Model Alignment:ビジネスモデル整合)SWGOMJ Partners and Their TPs
・Phase1(2001.11-02.7)PIP3A4とJEITA EDI標準メッセージとの整合性検討。
・Phase2(2003.1-03.12)
 OMJ WG参加企業が実装したPIPのうち11のPIPについての検証と実装ガイドラインの作成、RosettaNet.orgに対する修正要求取りまとめ。

 OMJ WG参加企業およびその取引先が参加し、JEITA EDI標準や各社の実装方法をすり合わせ、実装ガイドラインを作成するとともに、日本企業のニーズに合わせたPIPの修正要求を取りまとめた。こうした活動により各企業の実装方法(データマッピング)のばらつきを極力小さくして、バックエンドシステムとの統合を含めた全体の実装コストを削減することを目指している。また、IOV、BMA SWGの有志により、高負荷状態でのB2Bサーバーの信頼性、可用性向上に向けた提言も取りまとめている。この提言の重要性は、RosettaNet.orgでも直ちに認識され、03年10月のボード会議において専門のチームがアサインされている。このように、OMJ WGおよび各SWGの活動は、参加企業の実ビジネスへの利用を背景にした極めて実用的なもので、その成果は世界的に高く評価されている。(NTTコミュニケーションズ ロゼッタネットジャパン OMJ WG主査 伊坂 広明)

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