大遊泳時代

<大遊泳時代>第6回 IT選挙と法人選挙権

2004/02/08 16:18

週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載

松下電器産業 役員

 2000年頃の選挙から携帯が7つ道具+1の必携となり、ウェブによるPRも始まった。いわゆるIT型選挙である。昨秋からの総選挙・地方選挙では、前哨戦でeメールが飛びかい、掲示板にマニフェストの評価が入り、DSCが敵情視察に役立った。さらに高速道を余り使わない選挙カーにETCは余分だが、NAVIは便利である。既に7市町村で電子投票も登場した。そして開票速報も50インチプラズマTVで、涙あり万歳ありである。

 次回にはVoIP(IP電話)で電話作戦もコスト圧縮。NET利用も選挙法改正ですすみ、マニフェストもDVDで配布されたらうれしい。ところで、よくみると肝心の政策マニフェストの中にITの文字が少なかった。e-Japan、地上デジタル放送も出てこない。ミクロの戦いだからITは票に結びつかないのか。ITは地方の時代、住民生活に、企業活動に不可欠だし、行政改革、税の使途追求上も大切なことである。ITバブルにこりて禁句となったのかな?

 さらに選挙はどうしても組合、団体、企業を避けて通れない。住民1人ひとりへの伝達媒体として重要な機関、場である。しかも、法人、団体、NPOなどは住民よりも先にITの恩恵をうけるし、IT構築に大きな影響も与える存在である。ところが、なぜ、法人、団体には選挙権がなく、改革の意志決定に直接参画できないのだろうか。おかげでベンダーが選挙に熱心過ぎるゼネコン型選挙が生まれるし、公共予算にあれこれ煩くなるのではないか。

 これだけ民主主義の中で資本主義が大きなウェイトを占めている今日、個人と法人の半々に選挙権を与えてはどうかな? ワトソン君はしぶい顔で「いやー、資本金、従業員数、売上、利益、納税…どんな基準で与えるのですか。投票権は社長ですか、株主ですか? 議論にきりないですよ」「それよりもパソコンのHDDは選挙違反摘発の好材料らしいですよ。気を付けて」と忠告されてしまった。
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