企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角

<企業のIT調達モデルを変える デルの挑戦と死角>8.超えられない“N”の壁

2004/02/23 20:43

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

 デルは2003年、国内パソコン市場でシェア10%に達し、ソニーを退けシェア3位の位置を占めたと見られる。日本法人を設立してから足掛け10年、いよいよベスト3の仲間入りである。00年に入るまでは、デルのシェア上積みは遅々としたものだったが、ここ数年は毎年、2ポイント前後でステップアップ。では、このままシェアの上積みのスピードを加速させ、数年のうちに、シェア23%(03年実績推定)とトップに君臨するNECに追いつくのだろうか。(坂口正憲(ジャーナリスト))

 ここでは個人向け市場はひとまず置き、法人向け市場に限って考えてみたい。調査会社から03年の調査レポートが発表されていない段階なので推測を含むが、傾向は分かるだろう。法人向けに絞っていえば、シェア1位のNECと3位デルの差は約8ポイント。NECの21%に対してデルの13%である(国内市場の60%を法人向け、NECの法人向け比率を55%、デルのそれを80%として概算)。法人向け市場が伸び悩むなかで、デルが着実に販売台数を増やしていけば、デルがNECに追いつくのは、それほど難しいことではないように思える。だが、あるNEC関係者はこう反論する。「デルは法人市場でシェアを10%台後半ぐらいには持ち上げられるだろうが、法人でシェア20%を取るには、きれい事だけでは済まない」。

 NEC関係者がいう“きれい事”とは、例えば、セブン-イレブンのような大手流通業者を顧客とした場合のことを指す。NECがグループ総掛かりでセブン-イレブンのシステム開発、運用・保守を手掛けていることは、業界内でよく知られている。確かに1万以上もの店舗にパソコンやサーバー、専用PDA(携帯情報端末)を納入できるメリットは大きいが、それと引き換えに多大な苦労を背負い込む。「店舗でマシンに何か問題があれば、すぐに駆けつけられる体制を整えておかなければならず、求められるサービスのレベルが普通の企業とは全然違う。デルには絶対に真似ができないはず」(NEC関係者)。合理化されたデルのビジネスモデルは、日本の商慣習の最深部にも果たして通用するのか? 次号でも法人向け市場でデルがNECに追いつけるかどうかを考えてみたい。
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