“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>44.日立建機ビジネスフロンティア

2004/03/08 20:43

週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載

 日立建機ビジネスフロンティア(HBF、山口武社長)は、販売支援から生産管理まで一貫して対応できるERP(統合基幹業務システム)「HBFA for E-Business Suite(HBFAフォーイービジネススイート)」の拡販に力を入れる。このシステムは、「Oracle E-Business Suite(オラクルEBS)」をベースに開発されており、販売支援や生産管理などのオリジナル機能を追加した。

販売から生産まで一貫したERP

 同システムは、これまでのグループ企業向けのERP構築のノウハウを集約し、2003年6月に製品化に漕ぎ着けた。これまでは日立建機グループの各企業向けの販売が中心だったが、パッケージ化したことで外販できる体制が整った。グループ外への販売実績はまだないものの、「引き合いは多い」(同社)と自信を見せる。

 最大の特徴は、生産管理システムをベースとしながらも、販売支援や財務会計、調達まで、加工組み立て製造業の“業務フロー全体”をカバーできる点にある。この仕組みは、もともと親会社の日立建機のシステム構築を通じて出来上がったものだ。

 日立建機は、建設機械の製造だけでなく、「直接販売・直接サービス」のダイレクトビジネスを中心としている。建設機械を販売する日立建機の営業担当者は、顧客の用途や要望を聞き取り、それに適合した履帯の幅やバケットの大きさ、その他のアタッチメント(付属品)などの情報をシステムに入力する。この情報は工場へ伝達され、部材調達などに生かされる。こうしたダイレクトビジネスに不可欠な“販売と生産とが密接に連携する”情報システムを「HBFA」として製品化した。

 HBFの佐藤淳也・SI事業部ERP部SCMグループマネージャは、「いくら製造業といえども、生産者側の都合を優先するプロダクトアウトの発想では通用しなくなってきている。情報システムも同じで、生産管理システムであっても、顧客の用途や要望に適合した製品づくりを実現できる仕組みでないと通用しない」と、顧客や市場の需要を製品作りに取り入れるマーケットインの手法を重視したと話す。

 来年度(05年3月期)のHBF全体の売上高は、前年度比3割増の約60億円を見込んでおり、このうちERP関連の売上高は6億円程度を予想する。これまで、ERP関連ではグループ向けの大型案件が多かったものの、今後は、グループ外に向けた「HBFA」ビジネスの本格的な立ち上げを狙う。(安藤章司)
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