立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>29.RNの新しい展開─ロゼッタネットChinaセミナー

2004/03/22 16:18

週刊BCN 2004年03月22日vol.1032掲載

 ロゼッタネット(RN)活動の普及を考えるときに、IT(情報機器)やEC(電子部品)、ロジスティクス(物流)といった業界ごとへの展開とともに、世界各国・地域に設立されている組織に着目する必要がある。その意味で2003年最大のトピックは、10月28日の「ロゼッタネットChina」設立であろう。

 ロゼッタネットChinaは、アジア地域においては日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピンに続く6番目の地域組織となる。筆者は、ロゼッタネットジャパンから派遣され、同年10月30日に上海において開催されたロゼッタネットChinaのセミナーに参加した。

 セミナーは、上海ビジネスの中心地である浦東地区にある国際会議場で開催され、参加者は、前日に開催されたSM(半導体製造)、TC(電気通信)カウンシルの参加者を含めて100-150人程度であった。キーノートスピーチでは、中国側から今回ロゼッタネットChina設立の受け皿となった中国科技部のほか、中国商務部、上海市科学技術委員会、ロゼッタネット側からロゼッタネットチェアマンのBill White氏、ロゼッタネットの創立者で現SPカウンシル代表のFadi Chehade氏がそれぞれ講演を行った。

 特に注目される講演は、ロゼッタネットChina代表の中国科技部・張智文博士の「中国におけるロゼッタネット推進戦略」である。そのなかで、ロゼッタネットChinaの目的として、ロゼッタネット標準の調査・研究、専門家の育成、中国の実情と戦略を踏まえた標準化・ロゼッタネット活動へのフィードバックを挙げていた。さらに、今後3年間に会員数を200-300、実装例として30-50社、マイルストーンプログラム(MP)を5-10設立という積極的な目標を掲げていた。加えて、e-コマースとe-ロジスティクスをキーワードとして、それぞれに専任のディレクタをアサインするとのことであった。

 各講演やパネルディスカッションにおいて、参加者を含めて活発な質疑応答が行なわれていたが、特に強力なセットメーカーが存在せず、また生産基地としての中国の位置づけからか、物流に対する質問が多いのが印象的であった。

 今回はロゼッタネットChinaが立ち上がったばかりであることもあり、中国系企業からの講演はなく、設立に携わった中国政府機関関係者、外資系企業およびロゼッタネットからの講演が中心であった。そのなかで、科技部・張博士の発表にあった積極的な活動目標が注目される。この目標を達成するために、財務的・政策的なサポートを含めて、どのようなスタンスで政府機関が今後の活動にコミットしていくのか。また、外資系企業による中国企業との実装計画動向など、日本企業としても注目していく必要があると思われる。(NTTコミュニケーションズ ロゼッタネットジャパン 伊坂広明)
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