“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>46.中本・アンド・アソシエイツ

2004/03/22 20:43

週刊BCN 2004年03月22日vol.1032掲載

 中本・アンド・アソシエイツ(N&A、中本映子社長)は、会計業務のノウハウを生かし、「オラクルE-ビジネススイート(オラクルEBS)」の中堅企業向けの導入を進めている。N&Aは、中本国際会計事務所(中本映子代表)のグループ会社で、両者合わせて約30人(契約社員も含む)の会計士・税理士が在籍する。

会計士の強みをテンプレートに生かす

 これまで監査業務を担当した法人は、中本社長が監査法人に勤めていた時に関与した会社も含めて300社あまりに達する。監査を通じ、会計業務に必要不可欠な要素(エレメンツ)をノウハウとして蓄積してきた。2003年10月には、オラクルEBS対応のテンプレート(ひな形)「経理実務エレメンツ」として、蓄積してきたノウハウを目に見える形で製品化した。同時に、日本オラクルの公認テンプレート集「オラクルNeO(オラクル・ネオ)」にも登録した。

 中本社長は、「経理実務エレメンツは、これまでの会計士人生のなかで“必要だ”と判断した機能に絞り込むことで、1式5000万円ほどで導入できる価格にした。これまで体力のある大企業しか導入できなかったオラクルEBSを、安く、短期間で導入できる」と、年商100億-2000億円の中堅企業をターゲットに据える。

 N&Aは、95年の設立時からオラクルEBSに関わってきた。当時、日本オラクルが国内市場向けにオラクルEBSの導入を進めており、会計士の立場で、その日本語化および日本語版の機能検証に協力した。以来、主に大企業向けのオラクルEBS導入コンサルタントとして活躍。「オラクルEBSの国内で最も古参のコンサルティング会社の1社」(中本社長)と自負する。

 大手企業へのオラクルEBSの導入コンサルティングを通じて、効率的な会計業務の“正規化・標準化”のノウハウを得た同社は、「中堅企業に対しても業務の正規化・標準化を進めることで、割安で短期間にオラクルEBSを導入できる」(同)と、テンプレートの積極活用に踏み出した。

 まずは、汎用的な「経理実務エレメンツ」を製品化したのに続き、今後は業種に特化したテンプレートの開発を進める。今年3月末をめどに、IT業界向けテンプレート「IT企業エッセンシャル」を完成させるとともに、年内をめどに宗教法人や社団法人などの公益法人、学習塾など教育サービス産業向けテンプレートの製品化も図る。これにより、汎用的な会計パッケージが適用しにくい領域にも食い込んでいく。(安藤章司)
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