“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>47.東洋ビジネスエンジニアリング

2004/03/29 20:43

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

 東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、千田峰雄社長)は、グローバル展開する製造業向けのシステム構築で実績を伸ばしている。国内の製造業は、中国など人件費が安くて、将来有望な市場になり得る海外への生産拠点移転を進めている。同社は、こうしたグローバル展開を進める製造業のIT投資をうまく捉えている。

製造業のグローバル展開で商機

 B-EN-Gはもともと製造業に強く、年商の約8割を製造業向けのシステム構築関連で占める。製造業向けのSAPやオラクルイービジネススイート(オラクルEBS)の導入実績が豊富であるのに加え、自社で生産管理システム「MCフレーム」も開発している。MCフレームは、国内製造業向けシステムとして、1996年の製品化以来110社余りの納入実績がある。

 顧客である製造業は、ここ数年、人件費の安さに加えて、市場としても有望な中国への進出を強めている。B-EN-Gでは、昨年10月、MCフレームの中国語版を製品化し、日系メーカー向けの販売を本格化させた。古田英樹・eビジネス事業本部副事業本部長は、「製造業のグローバル展開はいまや必須。顧客が行くところには、世界中どこへでも出向く」と、顧客の動きに合わせて、B-EN-Gの事業そのもののグローバル化を急ぐ。

 中国市場に向けては、01年、B-EN-Gなどが出資する合弁会社「イーストネット」を深に設立。上海、天津、広州などにも営業拠点を設け、約100人体制で現地の日系メーカーなどのシステム構築などを手がける。

 だが、日系メーカーの中国でのIT投資の規模は、「国内と比較して小規模」(古田副事業本部長)だという。情報化投資の骨組みは国内が中心で、海外生産現場では必要最低限のIT投資に抑えることが多い。近年では、中国のソフトメーカーによる割安な財務会計ソフトの開発も進んでおり、こうした汎用的なパッケージを採用するケースもあるという。

 一方、国内の製造業は、中堅・中小規模であっても、将来のグローバルな連結会計の実現を見据えて、SAPやオラクルEBSなど“世界標準のERP”を導入する傾向が強い。SAP、オラクル両社ともに、こうした需要を踏まえて、中堅・中小向けの品揃えを強化している。

 古田副事業本部長は、「パッケージベンダーの戦略と歩調を合わせて、中堅・中小規模の製造業へのERP販売に力を入れる」と、グローバル展開を視野に入れたシステム構築で需要をつかむ。(安藤章司)
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