拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略

<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第2回 菓子問屋卸の三王商会編(1)

2004/04/12 16:18

週刊BCN 2004年04月12日vol.1035掲載

 東京都菓子卸組合によると、加入社はこの40年間で251社から47社に大幅に減少した。菓子卸の取引先である小売業が、スピード供給を要求するコンビニエンスストアといった「チェーンストア」へ加速したためだ。この変化に対応できなかった菓子卸は廃業を余儀なくされたという。

オフコンの良さ継承しながら機能アップ図る

 このような厳しい状況下で、ITを積極的に導入し、受発注機能などの独自改革を断続的に続け、生き残った1社が国内外の菓子類を2万5000種類扱う三王商会だ。そんな同社も昨年6月には、「処理能力が限界に達した」(谷野衛司社長)と、30年以上利用してきたオフコンベースのシステムに見切りをつけ、クライアント・サーバー(C/S)型にシステムを再構築した。

 三王商会がコンピュータの導入に踏み切ったのは1972年。利益・営業管理を目的として、オリベッティ計算機のオフコンを導入した。だが、菓子アイテムの増加にともない処理担当のオフコン熟練者が不足。88年には、東芝情報システムから東芝製のオフコンをベースにした受発注統合システムへ再構築した。業界内では「3年は先行した」(谷野社長)と自負するほどのシステムを作り上げた。

 “ポストオフコン”に向け検討を開始したのは昨年初め。指揮を任されたのは、谷野社長の次男である谷野功幸専務。谷野専務は大手ITメーカーなどが主催する企業向けセミナーに足繁く通う。その結果たどりついたのが、食品業界に強みをもつ内田洋行のERP(統合基幹業務システム)パッケージ「スーパーカクテル」だった。

 早速、内田洋行にシステム再構築を依頼。内田洋行は、同社の1次店で食品業界の製造、卸、流通の基幹システム導入で実績のある日本オフィスメーションへオフコンのリプレースによる新システム開発を発注した。

 谷野専務はシステム開発にあたり、「将来の成長を見越したシステムの拡張性と、営業担当者がモバイル端末で業務をこなす」という条件を付け、スーパーカクテルのモジュールを組み合わせて三王商会独自の流通網や受発注に対応した、先代のオフコンを凌ぐシステム構築を依頼した。

 三王商会の従業員は約80人。このうち営業社員は20人。営業社員は1週間に1回事業所に戻る程度。新システム構築で出した要求は、「オフコン時代は、注文処理が遅く、それがネックで営業の業務に支障をきたした」(谷野社長)という反省から出た当然の帰結だ。

 日本オフィスメーションから三王商会への要件提示は数か月にも及んだ。システム構築費を試算したところ、富士通製のサーバーやミドルウェア、スーパーカクテルなどで約2500万円。メンテナンス費用は月9万円となった。オフコンのメンテナンスに一昨年までは年1500万円を支出していた。大幅なコストダウンが期待できる。(谷畑良胤)
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