“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>49.情報技術開発

2004/04/12 20:43

週刊BCN 2004年04月12日vol.1035掲載

 情報技術開発(内藤惠嗣社長)は、業種別ソリューションなど競争力ある商材開発を目的とした新組織「商品・サービス開発室」を4月1日付で設置した。同社では、ソフトウェア開発などプロジェクト単位で取り組んでいるが、新組織では、これらプロジェクトから得たノウハウや技術を抽出し、業種別ソリューションなどへ応用するだけでなく、パッケージソフトやASPサービスなど競争力あるオリジナル商材の開発へも結びつけていく。

オリジナル商材の開発に注力

 また、プロジェクトを通じて、誰がどのようなスキルを身につけてきたかをデータベース化し、対象業種別の人材育成や人材シフトを進める。森本澄夫・執行役員技術本部プロジェクト監理部長は、「業種を基準としてコントロールしていくことで、金融業や製造業など業種別のアプリケーションに強いスペシャリストの育成や、業種ソリューションの開発につなげる」と、専門分野に強い体制作りに努める。

 この背景には、ソフトウェアの開発単価が下がっていることで、利益率が下がる懸念があることなどが挙げられる。同社では、昨年から中国・大連のソフトウェア会社と業務提携し、一部ソフトウェアの開発を中国へ発注しコスト削減に努めている。同時に、これまで手薄だった業種ソリューションの展開や、中堅・中小企業市場の開拓など、新しい収益分野の開拓を積極的に進めることで収益力のアップにつなげる。

 商品・サービス開発室では、プロジェクトのなかから他の企業でも需要が見込まれる技術やノウハウを業種別パッケージソフトなどのかたちで製品化し、営業部門を通じて販売する。

 中堅・中小企業向けには、社内のITコーディネータなどコンサルティング能力を持つ人材を活用し、経営改革を実現するソリューションとして売り込むことを検討している。ITコーディネータは、森本執行役員も含めて、これまでに3人育成するなど、人材育成に力を入れている。

 さらに森本執行役員は、ITコーディネータとは別に、経済産業省の中小企業のIT化を推進する「中小企業の経営改革をITの活用で応援する委員会」(IT経営応援隊)の準備会委員も勤めているなど、中小企業のITを活用した経営改革の調査・研究に力を注いでいる。業種別のソリューション展開と併せて、中堅・中小企業のIT化需要も取り込むことで、事業拡大に結びつける考えだ。(安藤章司)
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