拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略
<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第3回 菓子問屋卸の三王商会編(2)
2004/04/19 16:18
週刊BCN 2004年04月19日vol.1036掲載
オフコンを30年間使用してきた菓子卸問屋の三王商会は昨年6月、内田洋行のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテル」をベースにしたクイアント・サーバー(C/S)型システムに移行した。だが、5月のカットオーバー(新システムの全稼動)直前で谷野衛司社長のストップがかかる。
カスタマイズでぎりぎりの攻防
C/S型の新システム移行では、谷野功幸専務にすべてを任せていたこともあり、「蓋を開けると、オフコン時代に築いた当社独自の物流工程がうまく反映されていなかった」(谷野社長)ためだ。このため、システム構築を請け負った日本オフィスメーションは急きょ、「当初に契約したシステム構築費の範囲内で、ぎりぎりの線でカスタマイズを追加した」(樋口旬子・東日本第一事業部営業部営業課担当課長)と振り返る。
カスタマイズに要した1か月間の攻防は、後に日本オフィスメーションが三王商会から業務を継続的に請け負うための信頼を得る重要な期間となった。三王商会のシステムのメンテナンス費は月間約9万円。「これに加え、パソコンや周辺機器など月間約40万円以上を購入してもらっている」(樋口課長)と、良好な関係を築けたという。
日本オフィスメーションは、富士通系のオフコンディーラーとして、現在でも全国約600社でオフコンを稼動させ、保守・サポートを展開する。しかし、企業システムがオープン化するなかで、オフコンの保守・サポート費の増大は期待できない。「生き残り」を賭け、三王商会のような導入事例を増やしていく考えだ。
実は、三王商会がもう1つこだわったシステムがある。お菓子を売るスーパーEOS(受発注システム)とのオンライン化や発注・仕入買掛業務の効率化だけでなく、「ノートパソコンを営業社員に持たせ、日々の業務を簡素化する」(谷野社長)ことだ。全国を巡回する営業社員が、日々の注文、新商品や売上履歴の確認、日報作成などの作業の軽減を狙った。
谷野社長はかねてから、「理想のシステムは、営業がいらないシステム」という考えを持っている。現在、従業員80人のうち、営業社員が20人。残りはパートの従業員で、人件費を極力抑えている。将来的には、菓子メーカーにEDI(電子データ交換)やPCカメラなどを置き、営業担当者が巡回しなくても、オンライン注文できる体制にしたいという。営業担当者にノートパソコンを持たせるというのは、その一歩なのだ。(谷畑良胤)
オフコンを30年間使用してきた菓子卸問屋の三王商会は昨年6月、内田洋行のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテル」をベースにしたクイアント・サーバー(C/S)型システムに移行した。だが、5月のカットオーバー(新システムの全稼動)直前で谷野衛司社長のストップがかかる。
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