拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略

<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第4回 菓子卸問屋の三王商会編(3)

2004/04/26 16:18

週刊BCN 2004年04月26日vol.1037掲載

 菓子卸問屋の三王商会の谷野衛司社長は、オフコンから内田洋行のERP(統合基幹業務システム)「スーパーカクテル」に切り替えた効果をこう語り喜んでいる。「オフコンのシステム担当者を養成するには、約1か月を要した。だが、新システムでは、パート従業員でも1時間で扱えるようになった。仕入FAXの送信も、1日かけていた作業が30分にスピードアップした」と。三王商会の従業員は80人。同社のような菓子卸業では、従業員1人あたり売上高1億円に成長すれば、トップ企業になれるというが、これには情報システムの完備が欠かせない。同社の2003年度(04年3月期)売上高は約60億円。全国菓子卸業会の中では、30位程度のポジション。

スピーディーなシステムで新たな販路を拡大

 昨年6月のERP導入による収益面の効果は明確に出ていないが、「システムのスピードが高まり、商品の安定仕入・供給が身についた」(谷野社長)ことで、菓子だけでなく、食品加工品にも手を広げ、スーパーやコンビニ中心の取り引きから、焼肉店やレストランチェーンなど新たな販路を拡大することができた。また、小売業のシステム構築に強みを持つ日本オフィスメーションが、三王商会向けに独自開発したSFA(営業支援)システムは、「営業社員がノートパソコン1つで業務を遂行できるだけでなく、菓子を卸す得意先に対しインパクトを与えた」(谷野社長)と語る。得意先担当者の前で、営業社員がパソコンを開きながら新商品紹介から売上履歴の確認、注文などを瞬時に行うことで、客先で「スピーディーに対応できる」と、好評だった。

 三王商会が昨年5月まで使用していた東芝製のオフコンは、東芝情報システムが買い取り、他の菓子卸会社のシステムとして現在も稼動している。日本オフィスメーションは、「このオフコンはかなりの“優れモノ”だった。このソフト資産を継承して、ぴったりくる代替システムでないと、山王商会には受け入れられなかった」(樋口旬子・東日本第一事業部営業部営業課担当課長)と振り返る。

 日本オフィスメーションは、こうしたノウハウを積み上げ、「オフコンをスピーディーにパッケージにリプレースする技術を高め、自社開発の流通業向けアプリケーションなどと合わせ販売を拡大していく」(長谷川哲夫・取締役東日本第一事業部長)という戦略を描いている。三王商会では現在、新グループウェアの導入に関して、谷野功幸専務取締役と日本オフィスメーショの樋口課長の間で攻防が続いている。「あのグループウェアでは、うちの業務に合わないよ」(谷野専務)としながら、市販のグループウェアを試験的に使用している段階にある。(谷畑良胤)
  • 1