大遊泳時代

<大遊泳時代>第19回 ITベースの教育・学習・訓練

2004/05/17 16:18

週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載

松下電器産業

 学校教育における電子化の歴史をひもとくと、第1期は昭和30年代の放送番組活用、40年代の視聴覚教育、50年代のLL時代である。第2期は昭和60年代のパソコン・衛星利用に始まり、平成時代の学習指導要領に「情報」が入り、全教室へのパソコン普及とインターネットの時代である。そして21世紀、デジタルネットワーク化で第3期となり、ブロードバンド(BB)化によるeラーニング、ITベースの教育・学習・訓練が取り入れられた。それは、これまでの1対1やNから、N対Nの双方向、コラボレーション型の新しい学習形態の導入である。

 松下電器IT教育研究所に聞くと「eWBLCC」というウェブベースのコラボ学習システムが注目されているという。メール、掲示板、チャットはもちろんディベート、Q&A、リレー、コンテストなどあらゆるツールがウェブ上で教え手も学び手同士も自在に操れるらしい。このシステムを活用し、大阪の初芝堺中学校をはじめ、現在10校1000人規模の学校IT化の先進的取り組みが進められている。さらに英会話、資格教育の専門学校、MBA、果ては同窓会まで十数万の利用者が生まれつつあるようだ。

 IT教育・学習・訓練の成果を聞くと、先生がパソコンを避けなくなった。学校経営者がIT投資に意義を感じ出した。生徒が自ら取材・編集し、制作したコンテンツを公開することで、学校と家庭が結ばれ出したとのこと。どこかの荒廃した学校のPTAに聞かせたいような話である。

 さて、次の第4期では、パソコンからTV、携帯、電子ブックとnon PCへシフト。学び手が幼児、家庭人、お年寄りまで広がる。各種プラットフォームが誕生し、それこそお茶の間留学、車内塾、携帯レッスンも可能となる。そして、エージェント・ロボ先生も登場するかも知れない。ところでワトソン君、「教育と学習と訓練は違うのかね?」。「もちろんですとも。知らないことを教えられるのが教育、知りたいことを自ら学ぶのが学習、知っていることを体に叩き込むのが訓練ですよ」。
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