変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>20.シー・エス・イー

2004/05/24 20:43

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 独立系ソフト開発会社のシー・エス・イー(CSE)は、セキュリティビジネスでは他社製品の卸売事業のみで事業展開してきた企業だ。全売り上げのなかでセキュリティ分野の製品卸が占める割合は5-10%で推移する。ウイルス対策とコンテンツセキュリティの2ジャンルに焦点を絞り、スパム対策のクリアスウィフトや、URLフィルタリングのウェブセンス、アルプスシステムインテグレーションなどのセキュリティベンダー製品を担いできた。英ウイルス対策ソフトベンダーのソフォスの製品販売は約7年前からと実績があり、ソフォス製品を日本で初めて販売した企業でもある。

認証に焦点当て自社開発製品を投入

 ディストリビュータとしてのビジネス展開だけでは「製品での差別化は難しい」(高野透・プロダクツ販売部部長)ことから、サポート強化に力を注いでいる。セキュリティビジネスなどを手がけるプロダクツ販売部のうち、約半分をサポート人員として確保するなど、徹底してサポートを重視する戦略をとる。しかしそれだけでは差別化につながらないとして、昨年1月、それまでのディストリビュータとしての枠組みを越えて、セキュリティ分野で初めて自社開発ソフトをラインアップに加えた。個人認証機能を提供する「セキュアマトリクス」がそれで、約1年間の開発期間を経て、昨年1月に市場投入した。

 ブラウザからのパスワード認証方法をとることで、パソコンだけでなく携帯電話やPDA(携帯情報端末)にも対応。ICカードなど認証用の機器や専用ソフトウェアを配布する必要がないという特徴がある。価格も約120万円(50ユーザーの場合)と、競合製品に比べ約3分の1まで価格を引き下げた。これまで、大企業や官公庁を中心に約70団体が導入した実績を持つという。高野部長は、「認証は情報漏えい問題で注目を集めている分野であり、他社も手薄なジャンルだけに自社開発に踏み切った」と自社開発参入の背景を説明する。

 セキュアマトリクスでは、初めての自社開発製品とあって、ディストリビューションビジネスとは別に専門のパートナープログラムも実施。ネットマークス、ネットワールド、ヒューコム、NEC、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)、ユニアデックスの6社とパートナー契約を結んでおり、販売網もこの1年半でほぼ整いつつある。既存のソフト開発の技術力をセキュリティビジネスにも横展開したことで、CSEのセキュリティビジネスはセキュアマトリクスの投入後、売り上げが40-50%増で推移している。CSEではセキュアマトリクスの好調を受けて、情報漏えいを切り口に自社開発製品のラインアップ強化を図っていく。(木村剛士)
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