IT Stock Frontline

ハイテク株は堅調

2004/05/31 16:04

週刊BCN 2004年05月31日vol.1041掲載

見直しムード高まる

収益改善、戦略の明確さに人気

 米国の利上げ懸念などを背景に上昇トレンドに変化が出た東京市場。大幅な買い越しを続けていた外国人が5月に入って売りに転換、積極的な買い手が個人投資家だけという状況では、一気に反騰とはいかない。さらに中国では景気過熱から金融引き締めが予想されており、対中輸出で潤っていた企業には“中国バブル”の破裂が警戒されている。

 ただ、昨年4月をボトムにした今回の日本株上昇相場は、不良債権など長らく日本を苦しめてきた構造的問題が解決に向かっていることを映したもの。簡単に上昇相場が終わってしまうとは考えにくい。経済の持続的回復は、1-3月期のGDP(国内総生産)が年率換算で5.6%増と8期連続のプラス成長になったことでも確認されている。そうしたなか、ここまでの上昇相場で主役を演じた銀行、不動産、建設といった内需セクターは明らかに過熱した水準まで株価が上昇しており、調整が必要との見方が多い。

 それに対して、ハイテク株は円高が警戒されていた分、これまで株価の上昇はマイルドで過熱感はない。ハイテク企業が決算発表で打ち出した2005年3月期の業績見通しでは、為替レートの前提を1ドル=105円とするところがほとんど。今の為替水準(110円台前半)で推移すれば円安メリットが享受できる。

 5月21日にかけては日立製作所が商いを伴って急伸するなど、ハイテク株に対する見直しムードが高まってきた。日立の場合、HDD事業の改善が続くうえ、半導体では子会社エルピーダメモリーなどの収益貢献が期待できる。

 このほか、5月20日に中期計画を打ち出した三菱電機、半導体と携帯電話が収益を牽引するNECなど、収益改善がはっきりしている企業や成長戦略を明確に打ち出している企業が選別的に人気を集める展開が続きそう。

 ところで、米国市場は全体が冴えないなか、インターネット関連が人気。ネット企業御三家であるアマゾン、イーベイ、ヤフーは業績絶好調を映して株価も堅調。米国市場は波乱含みなものの、この人気は続きそうだ。(有賀勝久)
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