変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>24.キーウェアソリューションズ

2004/06/21 20:43

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

 1965年設立の老舗システムインテグレータであるキーウェアソリューションズ。拡大が続くセキュリティビジネスに本格的に着手したのは3年前と、競合他社に比べて出遅れてしまった。

情報漏えい対策に焦点

 まず、「タイムリーソリューションズフォーセキュリティ」のブランドを冠して、コンサルティングからシステム構築、保守・運用まで、メニューを揃えることに事業の力点を置いた。しかし、「メニューを揃えても他社との差別化には至っていなく、これといった強みがなかった」と、吉原秀泰・ITソリューション事業本部ITコンサルティング事業部長は、立ち上げ当時を振り返って失敗だったと打ち明ける。

 試行錯誤の結果、セキュリティのニーズが拡大するジャンルとして、目をつけたのが、パソコンからの情報漏えい。

 パソコンのセキュリティを「セキュリティビジネスのシンボルとして成長させる」(吉原事業部長)ため、自社製品の開発に踏み切った。製品は他社から調達し、インテグレーションスキルで事業を拡大させてきたキーウェアソリューションズにとっては異例の戦略といえる。半年間の開発期間を経て約2年前に市場投入した自社開発製品が、ユーザー認証キー「マイセッキー」だ。

 パソコンのUSBポートに抜き差しすることで、各パソコンの起動・操作を制限し、情報漏えいを防ぐハードウェア。各パソコンの利用者に合わせたセキュリティポリシーを設定し、指定したファイルやデータへのアクセス制限が可能だ。

 発売以来、これまで約4000本の販売実績を作り、昨年秋には企業が大量導入するケースが多かったことから、ドライバの自動配布や各クライアントの一元管理機能を加えた新モデルを追加投入。さらに、6月にはキーを紛失した際の失効手続きが行える新機能を付加したバージョンアップ版もリリースするなど、さらに開発・販売に拍車をかけている。

 情報漏えい事件が多発している現在では、参入企業も増えた個人認証分野だが、約2年前からそのニーズを見越し自社開発製品を投入したことで、先行メリットをアピール。また、自社開発したことで、「ユーザーのニーズに合わせ柔軟な追加機能を提供できることも強み」(吉原事業部長)としている。

 マイセッキーというユーザーに入り込むきっかけを手にしたキーウェアソリューションズだが、単価自体は安いため事業の相当なボリュームを稼がない限り大幅な売り上げ拡大は期待できない。マイセッキーをトリガーに他のセキュリティビジネス案件にどう結び付けていくかが、今後の事業拡大の課題となる。(木村剛士)
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