“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>58.アイネス

2004/06/21 20:43

週刊BCN 2004年06月21日vol.1044掲載

 アイネス(大畑すぐる社長)は、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の統合アプリケーションサーバー「iシリーズ」の新型「i5」が6月11日に出荷開始されたのに合わせて、国産などIBM製以外のメインフレームからiシリーズへシステムを移行するマイグレーション(システム移行)ビジネスを本格化させた。

マイグレーションビジネス需要をつかめ

 同社は1980年代後半から、非IBM製のメインフレームからIBM製のメインフレームへのシステム移行のビジネスを手がけてきた。02年にオリジナルのシステム移行ソリューションとして「インテグレート・ポーティング・ソリューション(IPS)」を体系化。IPSは、システム移行を自動化するツールで、手作業での移行に比べて作業効率を大幅に高められる。

 IPS開始当初は、非IBM製のメインフレームからIBMのオープンメインフレームサーバー「zシリーズ」へのシステム移行が中心だったが、03年には新しくIBMのUNIXサーバー「pシリーズ」への移行サービスが加わり、今年5月からiシリーズへの移行サービスを始めた。02年からこれまで大手金融機関や流通業、サービス業など6社のIPS移行実績を持つ。

 丸山眞之介・アプリケーションシステム本部長は、「非IBM製のメインフレームユーザーの一部がIBMマシンへ移行する市場のトレンドがある」と、zシリーズやiシリーズなど独自アーキテクチャのサーバー開発に力を入れるIBMのマシンへ、国産メインフレームユーザーが基幹系システムをマイグレーションする動きがあると分析する。一方で、ウェブ系のシステムを移行する場合は、ウェブとの親和性が高いUNIXへのマイグレーションを望む需要が強く、この分野の需要取り込みにも力を入れる。

 小型クラスのメインフレームは、PCサーバーへ移行する動きが目立つが、「当社のビジネスのボリュームゾーンは中型メインフレームが多く占める」(丸山本部長)ことから、従来のzシリーズへのマイグレーションに加えて、今後は新型iシリーズやpシリーズへのマイグレーションの比率が高まると予測する。

「iシリーズへマイグレーションすれば、既存のレガシーシステムも動き、Linuxやウィンドウズのアプリケーションソフトも動く」(同)と、複数のプラットフォームやアプリケーションを統合させることでコスト削減する利点を訴求している。日本IBMとの共同セミナーの開催や、アイネス独自に非IBMユーザーを招いたセミナーを全国で開催していくことで、レガシーマイグレーションの新規需要を開拓する。(安藤章司)
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