変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>27.システムイオ

2004/07/12 20:43

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 中堅ソフト開発会社のシステムイオは、創業以来のメインビジネスである受託ソフト開発からの脱却を図っている。その受託ソフト開発に代わる柱として力を入れているのが、ソリューションおよびインテグレーションビジネス。なかでも、カギを握る分野として製品調達および人材育成に力を入れているのがセキュリティだ。

受託ソフト開発からの脱却

 システムイオの全売上高の約90%は、富士通やNTTコミュニケーションズ(NTTコム)など大手企業からの下請けによる受託ソフト開発が占める。だが、受託ソフト開発は全般的に値下げ要求が厳しく、利益率の低下が依然として続いており、下請けソフト開発企業の大きな悩みとなっている。

 鈴木浩社長は、「当面、受託ソフト開発の利益率の大幅改善は望めない」と判断。そこで、約1年前に受託ソフト開発からの脱却を標榜し、ソリューションビジネスへの移行を急ピッチで進めている真っ最中だ。

 ソフト開発ビジネスでは、今年からベトナムでのオフショア開発に本腰を入れて取り組み始め、外注比率を10%から40%まで引き上げることでコスト削減を図る。これまでのソフト開発のエンジニアをソリューションビジネス部隊へ移行させることにより、ソリューションビジネスを手がける体制を整えた。

 ソリューションビジネスの中でセキュリティに目を付けたのは、「ニーズが最もあり、ユーザーに早く食い込める」(鈴木社長)という理由からだ。バックアップ、バイオメトリクス(生体識別)認証、データベースの暗号化システムなどを用意し、ハード、ソフトを問わず、まだ日本市場に入ってきていない海外製品を中心に調達。実際にシステムイオが販売する製品は、日本市場にこれまで販売されていない製品で、鈴木社長自らカナダや米国などに足を運び、製品を選ぶ場合もある。

 セキュリティ対策の中でも、万が一の障害が起きた場合の事後対策製品と、社員からの情報漏えいを防ぐ内部セキュリティに特化。他社から調達することで「市場のニーズに素早く対応できる」(同)ことから、ニーズが強い製品に主眼を置いて製品調達する。

 ただ、エンドユーザーへの直接営業の経験が浅く、営業力の強化を並行して進めていかなければならないため、「ビジネスが軌道に乗るのに時間がかかる」(同)。そのため、調達した製品の総販売元として、システムインテグレータやディストリビュータへの代理販売も手がける。

 鈴木社長は、「3年以内にはソリューションビジネスの比率を30-40%にする」としており、セキュリティを切り口にソリューションプロバイダへの転進を着実に進めていく。(木村剛士)
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