変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>30.ユニアデックス

2004/08/02 20:43

週刊BCN 2004年08月02日vol.1050掲載

 ネットワーク構築とITサービスに強みを持つ日本ユニシスグループのユニアデックス。競合企業がITバブルの崩壊とともに業績を悪化させた状況を尻目に、1997年の設立から一貫して売り上げを伸ばし、昨年度(04年3月期)には98年度の約3倍に相当する667億円まで売上高を引き上げてきた。

実装に徹する

 そのユニアデックスのセキュリティビジネスの基本姿勢は、「インプリメンテーション(実装)に徹する」こと。コンサルティングや保守・運用サービスなどを一通り揃えているが、「あくまでプロダクトとサービスを顧客の情報システムに実装し、問題解決することが基本方針」(杉本福次・市場開発部長)と、インプリメンテータとしての立場を強調する。ネットワーク構築事業を長年手がけてきた実績と技術力で他社との差別化を図っている。

 最近では、セキュリティポリシーの設定支援コンサルティングや、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証取得支援サービスなど、インテグレーションビジネス以外のビジネスを強化するシステムインテグレータが増えているなか、そうした戦略とは一線を画す考えだ。ただ、セキュリティのニーズが外部アタック対策から社員の作業管理などの内部セキュリティへと移行していることから、コンサルティングサービスの需要も当然ある。そのニーズには、親会社である日本ユニシスと共同でセキュリティ診断サービスを設けるなど、ユニシスグループの総合力でカバーしている。

 佐野仁・ソフトウェアサービス事業グループオープンITサービス統括部セキュリティソリューション部長はユーザーの状況について、「セキュリティポリシーを抜本的に見直し、セキュリティ対策を1から作り直したいという機運が高まっているのは事実」とした上で、「だが、個人情報漏えい事件や来年4月の個人情報保護法の施行により、情報を漏らさないためのソリューションであったり、個人情報保護法の規定に則した体制作りのためのソリューションといった“とりあえず”の製品・サービスを即座に導入したいというのがユーザーの本音。大掛かりな提案よりも、ピンポイントのセキュリティ対策を豊富に集め、即座に提案・インプリメンテーションできる体制が重要」と話す。

 そのため、ユニアデックスでは、以前は営業現場で製品の説明をまず最初にすることが多かったスタイルを変え、「顧客の課題を聞き、その問題を解決するにはこのようなサービスがあるといった提案方法を徹底している」(杉本部長)。1000人以上の中堅・大企業をメイン顧客にビジネス展開するユニアデックスだが、中小企業を相手にするようなきめ細かな提案と実装技術を武器に、セキュリティビジネスも全体の売り上げとともに伸ばし続けている。(木村剛士)
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