“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>64.JIEC

2004/08/02 20:43

週刊BCN 2004年08月02日vol.1050掲載

 JIEC(坂川真社長)がレガシーマイグレーション事業の拡大に努めている。日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が最新のプロセッサ「パワー5」を搭載したUNIXサーバー「pシリーズ」の出荷を8月31日から始めるタイミングに合わせて、主に他社製メインフレームから最新pシリーズへのマイグレーションを本格化させる。

レガシーマイグレーション事業拡大へ

 JIECはIBMのオープンメインフレーム・サーバー「zシリーズ」などメインフレーム系のノウハウを豊富に持つシステムインテグレータであり、このノウハウをフルに生かす。

 同社は今年4月にレガシーマイグレーションを推進する「マイグレーション推進室」を新設すると同時に、スイスに本社を置くEZレガシー社製のマイグレーションツール「EZレガシー」の本格活用を始めた。EZレガシーはJIECが昨年9月、国内における独占使用権を取得しており、「EZレガシーをフル活用したマイグレーションを提案することで他社との差別化を図る」(JIECの西尾忠幸・理事マイグレーション推進室室長)と、従来から強みにしているメインフレーム関連のノウハウに加えて、最新のマイグレーションツールを活用することで事業の拡大を図る。

 また、今年7月には、総合帳票プラットフォーム開発のウイングアークテクノロジーズ(内野弘幸社長)と業務提携し、メインフレームが得意とする帳票一括出力などの機能をオープンシステムで容易に実現するソリューションの提供を始めた。メインフレームのオープン化を進めても、従来と同様の帳票運用を実現しつつ、オープンシステム特有の拡張性のよさや運用コストの削減などのメリットを最大限享受できる。

 JIECはメインフレームなど大規模システムの構築をビジネスの中心に据えているものの、独自の営業力の限界から、日本IBMや大手アウトソーサーのCSKなどから案件を受託する比率が昨年度(2004年3月期)売上高全体の約7割を占めている。

 しかし、今後は、ただ受託するのではなく、EZレガシーを活用した高効率なレガシーマイグレーションや、ウイングアークテクノロジーズとの業務提携による帳票ソリューションなどJIECの強みを増やすことで、「日本IBMやCSKに対する提案営業」(同)の強化に努める。提案営業により上流工程から参画することでビジネスの主導権を強める考えだ。2年後の06年度(07年3月期)には、レガシーマイグレーション関連で30億円の売上高を目指す。(安藤章司)
  • 1