拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略

<拓け、中堅・中小企業市場 事例に見るSMB戦略>第19回 リフォーム・インテリア販売のタキズミ編(2)

2004/08/23 16:18

週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載

 2003年6月、業務ソフトウェアベンダー2社によるコンペを経て、リフォーム・インテリア販売事業を展開するタキズミ(瀧住寿彦社長)のシステムはピーシーエー(PCA)が獲得し、ERP(統合基幹業務システム)「Dream21」が導入された。Dream21の導入と同時にタキズミはサーバーを置き換え、OSもウィンドウズNTサーバー4.0から同2000サーバーにした。従業員2人に1台支給されているパソコンのOSも、最新のウィンドウズXPプロフェッショナルがインストールされた。

決め手はワークフローの理解度

 インテリア事業部の受注管理用システムに必要なハードとソフトの購入費、施設の改築費などを含めた初期投資は、昨年度(2004年7月期)が約1400万円。今年度は、リフォーム事業部関連の住所録管理、見積り、注文、契約、納品などに関する部分もIT化する。約1800万円を投じる計画で、すでにPCAが受注している。

 PCAとコンペで競合した業務ソフトベンダー大手A社が提案した内容は、中堅・中小企業向け市場でDream21と競合するERPを中心としたシステムで、PCAの見積り金額より安かった。高額なPCAのシステムが勝利した理由について、タキズミの大坪直樹・総務部マネージャーは、「競合社のERPは、価格は安いが不要なモジュールも多く、ウェブベースで構築することが条件だった。当社のワークフローにも合わなかった」と振り返る。

 タキズミは、単なるリフォーム・インテリア販売会社と違い、業務内容が特異だ。売上高の約8割を占めるインテリア販売では、建設業者とタイアップして新築マンションや戸建を契約した顧客に、照明やカーテン、家具など住空間に必要なアイテムを一手に企画販売している。顧客に直接営業するスタイルのマーケティングは行っていない。

 PCAの営業担当者は、タキズミが経理部にPCAのソフトを導入していたため、ある程度、特殊な業態であることを理解していた。それでも、「経理部の担当人数を減らしたい」(タキズミの大坪マネージャー)との要求に応えるため、システム構築を担当した日立プラントシステムエンジニアリングとPCA、そしてタキズミの3者でヒアリングを数多く重ね、追加カスタマイズ部分を中心に練り上げた。

 このヒアリングに同席したPCAの小早川渡・Dream21事業部コンサルタント主任は、「システム統合による経営革新をテーマに議論を重ねた。タキズミのワークフローを的確に理解し、各事業部のデータをリアルタイムに集計できるシステムを提案できた」と、コンペに勝利した要因を自己評価する。タキズミの経理部は、これまでインテリアとリフォームの各事業部から紙ベースで出力されていた受発注伝票を再入力する必要がなくなり、担当者の人数を5人から3人に減らすことができた。(谷畑良胤)
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