変革セキュリティビジネス
<変革セキュリティビジネス>32.ITXイー・グローバレッジ
2004/08/23 20:43
週刊BCN 2004年08月23日vol.1052掲載
低価格で後発の不利を挽回
ITX-EGは、アプライアンス型ウイルス対策製品を昨年9月に販売し、法人向けウイルス対策市場に本格参入した。今年7月には、ASP型のウイルス対策サービスを開始。マカフィーが先行するASP型ウイルスチェックサービスに対抗するサービスを始めた。年内には法人・個人両方の市場でパッケージソフトを発売する計画を明らかにしており、一気にラインアップを揃え、大手3社に挑む。野村昌雄社長は、「当社のソリューションの中でも、セキュリティとストレージは最重要強化ポイント」と話しており、ITX-EGの事業の旗頭として成長させる意気込みを見せている。ただ、大手3社が争っているウイルス対策ソフト市場は、参入企業がさまざまな拡販戦略を行ってきたが、大手の牙城を崩している状況とは言えない。そこでITX-EGでは、徹底した価格メリットと販売パートナーとの連携に力を注いでいる。「買い替えユーザーをどれだけつかめるかがカギ」(春日信吾・ビジネスディベロップメントマネージャー)として、他社製品からの乗り換え価格を、他社の同等製品に比べ30-50%安価に設定している。「機能と価格で勝負する」(同)と、価格面での優位性を広くアピールしていく。更新費用が必要なウイルス対策製品・サービスは、「一度買ったら費用はかからない」とはいかないだけに、価格への注目度が他の製品よりも高いという理由からだ。
一方、販売パートナー網の確立では、法人向け市場で丸紅ソリューションとパートナーシップを確立。かつてトレンドマイクロのウイルス対策製品を幅広く売り込んできた丸紅ソリューションを、販売パートナーの中心として迎え入れることに成功し、ノウハウに乏しいセキュリティ市場の法人向け販売体制を築いた。さらに、年内にも参入予定の個人向け市場では、自らが販売するのではなく、パソコンショップなどの店頭販売で実績のあるソフト販売会社に販売を委託する計画だ。個人向け市場への参入では、ノウハウ不足の解消やサポートサービスの負担を軽減させ、リスクを軽減させるビジネスモデルを作る。後発の不利を挽回する価格戦略と、市場でノウハウを持った販売パートナーと組むことで、「ウイルス対策市場で2006年にシェア10%の獲得」(同)という目標達成に向けて大手に挑んでいる。(木村剛士)
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