IT Stock Frontline

ヤフー、10回目の株式分割

2004/09/06 16:04

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

一本調子の株価上昇は一段落

個人投資家の広がりに期待

 ヤフーが9月末に1対2の株式分割を行う。発行済み株式数は2倍になる一方、株価は理論上2分の1になる。現在100万円前後の株価は50万円前後と購入しやすい水準に下がり、個人をはじめとした投資家層の広がりが期待できる。

 利益は事業に再投資するために配当は行なわず、株式分割と株価上昇で株主に報いるというのが同社の考え。1997年11月に株式を公開以来、株式分割を行うのは今回で10回目(いずれも1対2)になる。上場時に1株買ってそのまま保有していたとすると現在は512株、約5億円に増えている計算。上場時の初値(200万円)に対するパフォーマンスは7年弱で250倍に達する。成長株の長期保有による投資効率の高さを証明したことになる。

 ちなみに、時価総額は3兆9600億円(8月27日)と親会社のソフトバンクの2倍以上。東証では松下電器産業、ソニー、東京電力をしのいで11位にランクされる。

 ただ、今年の株価は3月末の株式分割後の4月に143万円の高値を付けた後、8月初めに80万円台まで下落するなど、これまで見られた一本調子の株価上昇とは異なる動きになっている。

 同社の株式の浮動株比率(大株主の保有分を除いた市場に流通している株式の比率)は8%に過ぎない。ほかの企業、例えばソニー29%、日立製作所26%と比べるとヤフーは極端に低い。「高株価は、ひと握りの株式が買い上げられた結果に過ぎない」という見方が一部にある。巨大化したヤフーの時価総額は実力以上というわけだ。

 そうしたなかで、東証はTOPIX(東証株価指数)の算出に際して浮動株基準を導入することを決定。指数に連動した運用を目指す機関投資家はヤフーの保有株比率を下げるため、それを警戒した売りが4月以降の株価下落の要因になったようだ。(有賀勝久)
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