大遊泳時代

<大遊泳時代>第38回 放送と通信の融合ではなく、AVとパソコンの同居が普及

2004/10/04 16:18

週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 今春NHK技研の公開で、いつの間にか「放送と通信の融合」が「連携」との言葉に変わっているのに驚いた。その昔、ウェブテレビなどと、先輩がパソコン+テレビかテレビ+パソコンかと苦労してきたが、ここに来て放送のデジタル化で、一挙にテレビとパソコンのボーダーレス化が加速した。1994年、CRT一体化のホームパソコン「woody」が発売されたが、テレビとパソコンの画面が同居というだけでは売れなかった。00年、AV(音響・映像)機器を取り込んだノートパソコン「人」が発売されたが、インターネットに忙しい人はテレビ視聴の時間はなかった。

 04年からはテレビにパソコン機能ではなく、LAN端子と閲覧ソフトのみ搭載したインターネットテレビを各社が出し始めた。これはBB(ブロードバンド)接続で簡単NET立ち上げが売り物だが、松下、ソニー、東芝はさらにサービスタイムを開き、地域情報、買物、エンタメ、教育、天気予報、金融を提供し出した。なかでも松下中心の「Tナビ」はデジタルブームに乗って、9月現在100サイトと鼻息が荒い。

 もちろん「簡単」が取り柄だから、「情報の範囲と量」ではパソコンや折込チラシに勝てないが、CATVでも導入が始まり、今後の伸びが楽しみである。言ってみれば、これらの歴史はAV-パソコンの事業戦略の葛藤である。トライしたが駄目、そこで反省して元に戻って出直すポジティブフィードバック、いやいや一部のみ軌道修正して初心を貫くネガティブフィードバックの繰り返しである。戦略の中にフィードバック制御理論が働いていることが面白い。

 おかげでAV-パソコン業界は学習効果を高め、最近はデスクトップ型の90%がテレビチューナ搭載で、ノート型の20%がAV機能付きとなった。これは融合でもなく、連携でもなく同居棲み分けである。ワトソン君よ!!「3m文化と30cm文化の議論は、どちらに軍配かな?」。「どっちもどっち、要はリモコンかキーボードかで、東西両横綱健在で業界は繁盛ですよ」。
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