コンテンツビジネス新潮流

<コンテンツビジネス新潮流>1.コンテンツ自動販売機「デジらく」(1)

2004/11/01 16:18

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

 昨年3月、内閣総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部が設置され、今年3月には「コンテンツビジネス振興政策」がとりまとめられた。5月には「コンテンツ促進法」が成立し、国際競争力の強化に向けた環境整備が期待されている。  こうした政府、行政の動きの一方、民間事業者はどうか。  昨今ACCSには、ビジネス・ゲームソフトメーカーに加え、大手出版社やパチンコメーカーなど、著作物のデジタル化を推し進めているさまざまなコンテンツホルダーが入会している。 この連載では、既存産業の枠内にありながら、デジタルコンテンツに関わるさまざまな新しい取り組みを行っている会員企業のビジネスなどを、著作権や情報を切り口として紹介していきたい。(久保田 裕 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事)

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 まず最初に、フレパーネットワークスが開発した「デジらく」を紹介する。

 「デジらく」は、コンビニエンスストアで見かけるチケット発券などに使う情報端末に似た、コンテンツ自動販売機である。

 ユーザーは、「デジらく」内のハードディスクに蓄積されたコンテンツをタッチパネルで検索・選択して、メディアに書き込む。ゲームセンターや家電量販店、レンタルビデオ店やまんが喫茶などへの設置がこの秋から始まるところだ。

 書き込めるメディアは、CD-Rのほか、DVD-Rと各種メモリカード(コンパクトフラッシュ、SDカード、MiniSD、メモリースティック、メモリースティックDuo)で、ユーザーが事前に用意し、専用スロットに挿入する。ラベル印刷は行わない。

 対応メディアが多いため、コンテンツは、パソコンで利用するゲームやビジネスソフト、CDで聴く音楽、DVDで見る映像、さらには携帯電話で利用する音楽や映像なども考えられる。

 アダルトコンテンツも用意される予定だが、ユーザーは「デジらく」設置店から事前に発行される年齢認証カードを「デジらく」に通す必要があり、未成年者用カードではアダルトコンテンツは表示されない。年齢認証を利用条件にしたこともあり、「デジらく」は有人店舗にのみ設置される。

 「デジらく」は、店頭でのパッケージ販売とダウンロード販売との「中間」に位置し、データだけでなく形として入手したいというユーザーの要求を満たすものだ。

 しかし、最大の特徴は、コンテンツの情報管理に留意したことと、ユーザーの個人情報に踏み込まない姿勢にある。次回は、この点について詳しく説明したい。
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