未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>3.フォトハイウェイ・ジャパン

2004/11/15 20:43

週刊BCN 2004年11月15日vol.1064掲載

サービスとしてのソフト開発

 フォトハイウェイ・ジャパン(祖山博史社長)は、カスタマイズ(受託)ソフトをユーザーに提供するのではなく、開発したソフトをASP(アプリケーションの期間貸し)形式のサービスとして提供することにこだわるソフト開発企業だ。

 インターネット上でのデジタル画像の閲覧・管理ニーズに目を着け、画像閲覧・管理ソフトを開発。開発したソフトを自社でシステムを組んで、サービスとして提供する。

 サービスとして提供することで、ソフト開発費用だけでなく、運用・保守サービスでも利益が取れるため、顧客単価は上がる。基本機能はベースとなるソフトで提供するので、顧客のシステムに合わせた受託ソフト開発は少なくて済み、その分開発コストを抑えることが可能となり、利益率も上がるというわけだ。

 一般消費者向けにアルバムサイトを開設し、月額3300円(100メガバイトまで)で提供するコンシューマビジネスもあるが、主軸事業の中心顧客は企業ユーザーだ。

 企業が自社のウェブサイト上で一般消費者向けにデジタル画像のオンライン保管・閲覧サービスを提供する場合、同社のシステムを利用してもらうことで利益を得る。

 ニコンや富士写真フイルムなどの映像関連メーカーのほか、インフォシークなども同社のシステムを用いて、デジタル画像の閲覧・管理サービスを一般消費者に提供している。

 サービスの強みになっているのは、独自の画像管理技術といったソフト開発技術だけでなく、サポート体制の充実にある。

 オンラインアルバムという特性から、一般消費者がアダルトや暴力画像といった写真をアップする場合がある。アルバムサイトを開設するユーザー企業の信用が損なわれるケースがあり、「ユーザーの大きな悩みだった」(祖山社長)という。

 同社では、中国のサポートサービス提供会社と提携し、約20人のサポート人員を確保。24時間365日体制でユーザー企業のサイトを監視し、不適切な写真を削除するサービスを提供している。

 祖山社長は、「インターネット上のデジタル画像関連のサービスを展開しようとしている企業は多いが、システムの運用に悩みを抱え、サービスを開始できないケースがある。開発から運用・保守まで総合的に面倒を見るサービスとして提供する体系が一番ユーザーにとってメリットがある」と話している。

 単なるソフト開発で、アプリケーションを提供するだけでなく、運用保守などの付加価値を付け、サービスとして提供することで、ビジネス拡大を図っている。(木村剛士)
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