未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>4.システムイオ

2004/11/22 20:43

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

SEをITコーディネータに

 受託ソフト開発だけでは、絶対に生き残っていけない──。

 大手ITベンダーの下請けで、受託ソフト開発を約15年手がけてきたシステムイオ(鈴木浩代表取締役)は、来年度(2005年11月期)、大きくビジネスモデルを変える。

 基本方針は、受託ソフト開発からの脱却だ。主軸事業を大手ITベンダーから受注するカスタム(受託)ソフトの開発から、エンドユーザーへのソリューション販売へと舵を切る。今年度は、売上高見通し約18億円の大半を受託ソフト開発が占めるが、来年度は、売上高目標25億円のうち、3億円をソリューション販売が占めるまで成長させる。3年後にはソリューションと受託ソフト開発の売り上げを半々にする。

 システムイオは、NTTグループなど大手企業からソフト開発を請け負う典型的な受託ソフト開発企業。だが、発注先からの低価格要求はこの2-3年で一気に強くなり、ある発注元からは「単価をいきなり10%下げろと言われたこともある」(鈴木代表取締役)ほど厳しい環境になった。価格競争は今後も続くと見ており、これが方針を変える理由となった。

 鈴木代表取締役は、受託ソフト開発について、「案件の数は減っていない。だが、利益が取れない」と危機感を募らせていた。

 そこで、エンドユーザーへのソリューション販売を決めた。下請けの受託ソフト開発ベンダーから、エンドユーザーに直接ITシステムを売るソリューションプロバイダへの移行を、来年度から本格的に進める。

 エンドユーザーへの営業部隊の確立、ソリューションの立案、必要な製品・サービスの開発および調達、システムエンジニア(SE)の教育など、すべきことはたくさんあるなか、システムイオがまず強化するのが、SEの教育だ。「ユーザーと話し、最適なソリューションを立て、必要な製品・サービス、またはアライアンス先を見つけ出し、アレンジできる“ITコーディネータ”の育成が先決」(鈴木代表取締役)という。

 獲得したシステム構築案件は、必ずしも自社でのソフト開発や、自社で揃えた製品・サービスでインテグレーションすることにこだわらない。とにかく数多くの案件を手がけることで、ソリューション事業のノウハウを蓄積し、SEの変革、ソリューション事業への移行を進めようという考えだ。

 鈴木代表取締役は、現在5人程のソリューション開発メンバーを、既存SEの中から早急に20人まで増やす考えだ。(木村剛士)
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