コンテンツビジネス新潮流

<コンテンツビジネス新潮流>9.P2P技術によるコンテンツ流通の可能性

2005/01/03 16:18

週刊BCN 2005年01月03日vol.1070掲載

 この連載のなかで、コンテンツの流通は、パッケージ、ノン・パッケージ、キャラクター、実演などと様々な手段を組み合わせ、トータルで最大化させることを考えるべきだと書いた。ここで、ノン・パッケージ流通としてダウンロードなどを通じた販売には、セキュリティの問題とサーバー負荷の問題があるだろう。まず、この点を解決する必要がある。(久保田 裕 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)専務理事)

 ジャパン・ウェーブは2000年に設立され、ACCSには昨年11月に加盟した新しい企業だが、課金とも連動し、P2Pをベースにコンテンツを流通させながら、著作権保護も実現する技術を持っている。

 ジャパン・ウェーブの保護技術の原理はこうだ。まず、コンテンツから一部だけを取り出し、ピースデータとして保管。コンテンツの残りを暗号化し(これをADHデータと呼ぶ)、これをファイル交換ソフトを含めあらゆる手段を使って無料で流通させる。ADHデータだけでは再生も復号もできない。このコンテンツを利用する場合は、別途、正規に料金を支払い、事前に分離されていたピースデータを入手する。ピースデータはADHデータの復号化も行い、元のコンテンツとして視聴できるようになる。

 このシステムで重要なのは、ピースデータはファイルではなく、復号はメモリ上で行われることだ。つまり、ピースデータのコピーは不可能で、復号化された元のコンテンツのコピーもできず、正規ユーザーだけしか視聴ができない。さらに、サーバーからダウンロードするのは、小さなピースデータだけでトラフィックの負荷がかからない。

 ジャパン・ウェーブは、この技術と、アリエル・ネットワークのP2P技術を組み合わせ、コンテンツ配信の仕組みを提案している。アリエル・ネットワークは、P2P技術を使ったグループウェアを開発・販売している企業である。

 私は、著作権保護のために必要な手段は、法と教育、技術だと考えている。法律の制定と適切な執行、学校を中心とした著作権教育についてはACCSも関わりを持っている。ただ、インターネット時代においては国境の意味が薄れており、国ごとに違う法律では対応が難しい面もある。そこで、先の3つの手段のうち、特に技術は重要だと思う。

 ジャパン・ウェーブが持つような、まずは技術で保護し、それでも確信的に保護技術を破るなら法で処罰する。コンテンツのノン・パッケージ流通においては、こうした考え方のビジネスが一般的になるだろうと思う。
  • 1