未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>9.日本コムシス

2005/01/03 20:43

週刊BCN 2005年01月03日vol.1070掲載

「通信」と「情報」の融合を核に

 ソフト開発会社が、大手企業の下請けだけでなく、エンドユーザーをターゲットとしたソリューション販売にも乗り出す動きが顕著になっている。これは、開発単価の下落や利益率低下が、開発会社の規模を問わずに襲って来ているため。

  通信建設事業を核としてきた日本コムシス(島田博文社長)でも、ソフト開発ビジネスの売り上げが堅調に推移している。

 NTT市場を中心に事業展開する同社は、独立系のソフト開発会社に比べると、安定的に開発案件を獲得する体制は整っている。だが、「数自体は減少していないものの、開発単価は数年前と比べたら、明らかに下がっている」(島田社長)。受託ソフト開発に加え、成長路線を築くための新たな主軸事業を育成しようと、ビジネスモデルの確立を進めている。

 ターゲットとしたのは、1000人以下の中堅・中小企業(SMB)に、業務系アプリケーションを中心としたソリューションを提案していくビジネス。

 これまでも日本コムシスは、NTTグループからの受託ソフト開発以外に、エンドユーザー向けのシステム販売も手がけてきた。だが、その内容はネットワーク機器の設置やLAN工事など、ネットワーク系のインテグレーション事業にとどまっていた。業務アプリケーション関連のシステム構築はまだ手薄な状況にある。「業務アプリケーションの開発、インプリメンテーションとネットワークの連携は、切っても切り離せない関係になった。ネットワークインテグレーションを手がけた顧客向けに、業務系・情報系のシステム構築を効率的に提案していく」(島田社長)ことを狙っている。受託ソフト開発で、業務系アプリケーション開発のノウハウが蓄積しており、エンドユーザーの要望に柔軟に応えられるスタッフが十分揃っているとの自負もある。

 そのため、営業力の強化がビジネス拡大のための一番の課題となっており、各営業担当者が聞いてきた顧客の要望を全社的に共有できるように社内体制および情報システムを整備。営業推進のための新部署も設立した。

 もともと強いネットワーク関連事業に加え、業務系システムも加えることで、最近のトレンドとも言える「情報と通信の融合」ソリューションを顧客に提案する。IP電話を使った業務システムの構築とネットワークの再構築提案は、日本コムシスの戦略とトレンドが重なり、エンドユーザー向けビジネスの中核を占めている。(木村剛士)
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