IT Stock Frontline

株式のネット取引急拡大

2005/03/14 16:04

週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載

格安の手数料を武器に

個人投資家売買の8割に

 株式のインターネット取引が急拡大している。利便性と手数料の低さを背景に、個人投資家の株式売買のおよそ8割はネット取引が占めるまでになっている。松井証券、イートレード証券などに続いてネット専業のカブドットコム証券が今年4月に新規上場するなど、証券業界の勢力図も変化している。

 データはやや古いが、2004年9月末におけるインターネット取引の口座数は約581万口座と1年間で約156万口座増加した(日本証券業協会調べ)。直近では600万口座を突破しているのが確実といわれている。

 ネット取引が始まった99年当時の口座数はわずか30万弱。00年9月末の132万口座からは4年間で4倍以上に増加している。

 株式売買の手数料が自由化されるとともに登場したのが、格安の手数料を武器にしたネット専業証券。電話による売買注文に比べて、数回クリックするだけで売買注文が完了するという便利さも個人投資家に受け入れられた。

 ネット証券は、松井、イー・トレード、マネックス・ビーンズ、楽天などが大手。

 松井証券はかつては個人商店的な小規模の証券会社だったが、松井道夫社長の下でネット専業に転換して急成長した。無期限信用取引などヘビーユーザーに使い勝手のよいシステムを次々に導入。営業収益(売上高)は01年3月期の80億円が05年3月期には350億円まで拡大する見通し。

 イー・トレード証券はソフトバンク系列で、手数料の低さを武器に若年層中心に口座が急増。収益も急拡大している。

 隆盛のネット証券だが、個人投資家のネット利用率が限界に近づいていることもあって、成長を持続できるかは不透明。商品先物取引のネット取引など新たな試みを始める証券会社が出ている。(有賀勝久)
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