フレッシュマンセミナー ITの常識

<フレッシュマンセミナー ITの常識>5.セキュリティパソコン

2005/05/02 16:04

週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載

 仕事上のデータをノートパソコンに保存して、自宅や社外でも作業できるようにしている企業は多い。実は、このことがセキュリティ上、深刻な問題を引き起こしつつある。例えば通勤途中でノートパソコンを置き忘れ、ハードディスク内のデータを盗まれるなどのケースが考えられる。

 こうしたなか、個人情報保護法の完全施行にともない、5000人以上の個人データを持つ企業は、保管に厳しい責任を負わねばならなくなった。これを反映して、セキュリティ機能を強化したパソコンが続々と登場している。

 セキュリティパソコンは、ICカードや指紋・手の静脈に生体認証で本人確認ができないと起動しないもの、使用中にパソコンから離れると画面がロックされるもの、またブレード技術でクライアントパソコンには操作画面のみ表示するもの、USBなど外部インタフェースを一切もたないもの、セキュリティチップ搭載のものなど豊富だ。

 なかでも話題を呼んだのは、日立製作所が発表した、ハードディスクを搭載しないノートパソコンだ。同社はハードディスクを搭載した通常のパソコンも発売している。そのため、パソコン戦略そのものについても注目が集まった。いずれにしても、社内でハードディスクを搭載しない専用端末に切り替え、個々のパソコンにはデータ保存をさせない方法でセキュリティ対策を進めているという。

 パソコンは処分する時もデータの扱いには神経を使う。専用ソフトで消去しても必ずしも完全ではない。ハードディスクドライブ自体を物理的に壊す方法が現実的には最も安全だという。

 個人情報や企業内の重要な情報の漏えいが頻発している昨今、パソコンのセキュリティ機能強化は今後ますます高まっていくものと思われる。これらの動きは当分続きそうだ。(真実井宣崇)
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