IT Stock Frontline

株式市場の活況で、ネット証券の収益拡大

2005/05/30 16:04

週刊BCN 2005年05月30日vol.1090掲載

口座数は1年で56%増

 松井証券、イー・トレード証券などネット専業証券の収益が急拡大している。ネット専業証券の口座数の合計は今年3月末で178万と1年間で56%増えた。株式市場の活況で株式取引への関心が高まっているなか、ネット証券は取引手数料の安さをアピール。株式投資初心者の口座開設が活発化している。プロ投資家顔負けの売買ツールの提供や商品先物など幅広い商品・サービスで投資家獲得に力を入れている。

 ネット証券の大手4社(いずれも上場)を見ると、口座数はソフトバンクグループのイー・トレード証券が最大。業績面では信用取引に力を入れるなどアクティブな投資家の利用が多い松井証券が最も利益を稼いでいる。サラリーマン層の支持が多いマネックス証券は、アクティブ投資家の顧客が多い日興ビーンズ証券と今年5月に合併した。カブドットコム証券は今年4月に東証1部に新規上場。

 ネット証券同士の競合に加え、5月からは大和証券がネット取引の手数料に大手証券では初めて「定額制」(1日に何回売買しても手数料は同じ)を導入するなど、旧来型証券との競争も激しさを増す。

 手数料の引き下げ競争は一段落しているだけに、各社は商品・サービスで特徴を出していく構えだ。マネックス・ビーンズ証券は新規公開株の主幹事業務をネット証券では初めて獲得した(6月に東証マザーズに上場するドリームバイザー・ドット・コム)。個人投資家中心にIPO(株式新規公開)ブームが続いているが、個人投資家にIPOをもっと身近な存在にしてもらうのが狙い。(引受シェアの多い)主幹事獲得を今後も目指す」(松本大社長)という。

 楽天証券と松井証券はインターネットでの商品先物取引専業のドットコモディティに出資、商品先物業界に新風を吹き込む。(有賀勝久)
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