大遊泳時代

<大遊泳時代>第71回 割れ窓理論をITの世界に

2005/06/06 16:18

週刊BCN 2005年06月06日vol.1091掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 我が家のまわりに、タバコの吸いがら、ペットボトル、犬のフンが多いので、毎日、掃除をしていると、徐々に減ってきた。

 「FIXING BROKEN WINDOWS」なる本がある。文化書房博文社、小宮信夫監訳で、割れ窓理論による犯罪防止のテーマである。世界一のニューヨークの地下鉄の落書きを消す運動は、この理論にもとづいて実行されたもの。

 ガラスの割れた車と普通の車を並べて住宅街に放置していたら、一週間後、前車は次々とガラスが割られ、金目のものはほとんどなくなったが、後車は何事もなかったという。

 公害や品質安全問題が起きる会社は、朝の挨拶や検査工程のきまり、励行を怠る職場に多いという。こういうことは私たちの身のまわりで感じさせられることが多い。

 私の勤務する大阪・京橋のOBP(大阪ビジネスパーク)でも、各企業の有志が朝、タバコ・ゴミ美化運動をしている。私も有言実行ということで出てみたが、さすが毎日、地道な努力で本当にキレイ。「次は放置自転車対策だ」と、企業の村長会議であるOBP開発協議会(大川事務局長)が、行政と共に立ち上がった。

 私は、昼はOBPでも、朝は大阪城を使ってOJP(大阪ジョギングパーク)とし、一方、毎日放送の山本雅弘社長は、夜は大阪のほとんどの劇場が集まっているこの地区をOTP(大阪シアターパーク)と言い、ナイトカルチャーを楽しむ街づくりを提唱している。

 そのためには、街の美化安全が不可欠である。お互いの事情、立場があるが、今こそ村意識、コミュニティづくりが必要となった。こんな運動が、犯罪抑止、青少年教育につながれば誠に幸いである。

 ねぇ、ワトソン君、「テレビ放送やバラエティーでも割れ窓のようなコンテンツがあるねー!!」。「いや、その前に私たちITの世界も落書きを減らさなくては!」。
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