“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日

<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>8.2011年アナログ停波に暗雲

2005/06/27 16:04

週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載

 地上デジタル放送に対する関心が一向に上がらない。

 総務省が6月14日に発表した調査結果によると、「地上デジタル放送への転換に伴い、2011年にアナログ放送が停止することを知っている人」は1割に満たない。

 正確に記すなら、アナログ放送の停波については3人に2人が認知しているが、4人中3人は停止時期を正確に認識していない。それだけ関心が薄いということになる。

 同調査によれば、地上デジタル放送の世帯普及率は8.5%に達しているが、導入理由は「故障などテレビが買い替え時期だったから」(36.8%)という消極理由が、積極理由の「ハイビジョン番組を見たかった」(36.7%)と並ぶ形となっている。

 積極理由を支えるハイビジョン番組にしても、実態としては見せ掛けの段階。NHKの場合、9割の番組がピュアハイビジョンとなっているが、民放は標準画質で撮影した番組を上位変換したものがほとんど。本来のハイビジョン画質からほど遠い。

 電機メーカーのテレビ事業部関係者は、「デジタルテレビは高画質化が進み、価格も1インチ1万円以下に下がった。それなのに民放はハイビジョン番組を増やそうとしない。これではハイビジョン対応を“売り”にすると誇大広告になるし、実際、苦情もかなりある」と苦り切る。

 これといった起爆剤が見えないなかで、地上デジタルの普及はテレビの買い替えサイクルに応じた緩いペースとなる可能性すらある。「2011年のアナログ停波は難しい」との見方も電機業界からはすでに出ている。

 こうした状況で放送事業者の中からも“デジタル放送頼り”を見直す動きが出ている。

 スカイパーフェクト・コミュニケーションズは今夏から、グリッドコンピューティングを応用したIP映像配信サービスを開始する計画だ。5月に行われた「グリッドワールドエキスポ2005」で配信技術を披露した。

 同社はデジタル放送(3波)の1つ、110度CSデジタル放送で「スカパー!110」も手掛けているが、「マルチプラットフォーム戦略」としてネット配信にも力を入れていく考えだ。

 その背景には、通信回線の充実だけでなく、コンテンツ配信技術の進化がある。次号は、そこに目を向けてみよう。
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