未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>36.アークン

2005/07/18 20:43

週刊BCN 2005年07月18日vol.1097掲載

ソフト開発は「先進性」重視

 アークン(渡部章代表取締役)は、情報セキュリティ対策に特化したソフト開発・販売事業を手がけるベンチャー。ソフトを調達し代理販売も手がけるが、メインは自社開発ソフト。開発者は7人と少ないが、自社開発ソフトのラインアップを徐々に増やし、現在は取り扱う製品の半分を自社開発製品にしている。

 アークンが自社開発で重要視しているコンセプトが「先進性」だ。流行の分野に焦点を当てるのではなく、「今後需要が高まりそうな分野に的を絞る」(渡部代表取締役)。目先の利益よりも将来性がある分野に開発者のリソースを集中させる。

 その先進性で、市場のニーズを上手くつかまえた代表的な製品が、コンシューマ市場向けに発売したスパイウェア対策ソフト「SGアンチスパイ」だ。スパイウェア対策専門ソフトとして他社に先駆けて今年4月に発売した。

 ウイルス対策ソフトでは防ぎきれないスパイウェアの対策をターゲットにしており、約1万4000種類のスパイウェアを駆除できることが評価された。また、ウイルス対策機能も付加し、他社のウイルス対策ソフトと同時利用も可能にしたことで、導入しやすくなっている。

 BCNランキングではセキュリティソフト部門で20位に優待版が初登場でランクイン。著名なセキュリティ関連ソフトがひしめく同部門で、新規参入企業の新製品が20位に初登場することはまれだ。アークンの製品投入後、コンピュータ・アソシエイツ(CA)やインターチャネルもスパイウェア対策の専門ソフトを投入したが、その後も好調を維持している。

 渡部代表取締役は、「約3年前からスパイウェアの研究をしてきた。その実績が評価されている」と、先進的に取り組んできたことが好調の理由だと話す。参入企業が増えてきたことに対しては、「当然歓迎する。他社の参入で市場が広がり、ビジネスに結びつく」と自信を示す。

 好調さを受け、7月下旬には企業ユーザーが使いやすいように、新たに管理機能を追加した法人向け版を「アンチマルウェア」として発売する。

 コンピュータウイルスは海外で作られるものが大半だが、「スパイウェアは日本で作られることが多い」(渡部代表取締役)という。このためスパイウェアの調査・研究を行う研究所を設置した。将来のニーズを見越しながら、リスクは高いながらも、徹底的に先進性を追究して自社開発を進め、大手メーカーに挑んでいる。(木村剛士)
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