“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日

<“ライブドア騒動”から垣間見える 2011年 ネットをTVが流れる日>12.静かに動き出すVOD

2005/07/25 16:04

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

 前号では、地上デジタル放送の普及促進に伴って、ブロードバンド回線を使った地上波同時再送信の可能性が高まっていると述べた。総務省が地上デジタル放送の難視聴対策として、FTTH(光ファイバー通信)の活用を打ち出したからである。

 総務省が想定するブロードバンド放送は、BBテレビなど複数のブロードバンド放送事業者が採用し、汎用性の高いIP方式による同時再送信と見られる。

 ある放送業界関係者は、「総務省自らが課しているアナログ停波の条件が地デジ普及率85%。現状のペースでは、視聴者の関心が薄い地デジの普及率を1011年夏までに85%へ上げるのは至難の業だ。総務省が難視聴対策でブロードバンド放送を後押ししようとしているのは、普及率を上げるために電波以外でも使える伝送路は何でも使いたいというのがホンネだろう」と話す。

 もちろん、既存放送事業者とブロードバンド放送事業者の間には「著作権保護」、「放送エリア」など大きな争点が控えているが(それぞれ根本問題なので別号で取り上げる)、とりあえず前に動き出した感はある。

 一方、双方向通信というブロードバンド放送の利点を生かした非同時再送信、つまり、ビデオオンデマンド(VOD)についても静かに動き出している。

 7月15日からはフジテレビジョンが有料VODサービス「フジテレビ On Demand」を開始している。プロバイダ各社のブロードバンド放送を利用し、当初はCS放送「フジテレビ721・739」のコンテンツを中心に配信する。

 ライブドア騒動の際に、あれだけ(表面的に)ネットに拒否反応を示していたフジテレビが舌の根も乾かぬ先にVODサービスを始めたのは、放送業界内で環境整備が進んでいる面もある。

 例えば、今春からドラマ番組を放送事業者がVOD配信する際の著作権料率が、暫定的ながら業界内で決まった。放送事業者がVOD配信で得る情報料収入の8.95%と広告料収入の1.35%を権利者団体に支払うという。

 今のところ暫定料率が適用されるのは今春以降に制作されたドラマ番組に限られているが、これが過去のドラマ番組や他ジャンルのコンテンツにまで広がれば、大きなインパクトとなる。(坂口正憲(ジャーナリスト))
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