ITIL創生期 変わるITサービス

<ITIL創生期 変わるITサービス>13.サービスの品質が雌雄を決する

2005/07/25 16:18

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

 保守・運用サービス市場は、右肩上がりで成長しているといわれ、参入ベンダーが相次いでいる。競争激化する市場のなかで、「ユーザー企業システムの最適な保守・運用業務とは何かを考える必要性が高まっている」――こう語るのは、東芝グループの保守・運用ベンダーであるITサービスの佐藤猛雄・マネージメントサービス・ネットワークサービス統括責任者である。

 ITサービスは2004年4月、ITILを同社の各種サービスへ適用するため、「ITIL導入プロジェクト」を社内で立ち上げた。

 同社は、オンサイト(常駐)型の保守・運用でこれまで、各ユーザー企業の要望に応じ、個別に最適化した保守・運用に必要なソフトウェアやツールなどを導入してきた。だが、「よりサービスの品質を向上し、サービス事業を拡大するために、ITILに基づきツールを標準化する必要がある」(佐藤統括責任者)と、ITILに準拠した保守・運用サービス用の標準化ツールの研究開発を進めている。

 ユーザー企業の多くは、増大化する運用コストに悩んでいる。しかも、運用プロセスが見えにくく、運用の最適化を保守・運用ベンダーに求めている。ITサービスが標準化ツールを開発する背景には、こうした課題を解決するため、運用コストを削減し、サービスレベルを高める狙いがある。佐藤統括責任者は、「サービス品質が勝負を分けることになる」と、将来を見通す。

 NECフィールディングは7月12日、ITIL導入から実践までを支援する「ITマネジメントサービス」を提供すると発表した。同サービスは、ITIL導入支援サービスとしてITILの観点からのシステム運用状況診断やオンサイト研修、システムの運用監視・運用管理を提供する。

 このサービスも、システムがオープン化・分散化し、運用コストが増大しつつあり、ユーザー企業から保守・運用のサービス品質向上への要求が高っている市場のニーズに応えるための新戦略である。NECフィールディングは、「このサービスは、当社の展開力を生かすための戦略。首都圏の大企業だけでなく、地方の中堅企業へもITILを普及させ、当社の運用監視・運用管理サービスの幅広い導入を狙う」(富永正敏・マーケティング本部シニアエキスパート)と、今年度(2006年度)中に同サービスで売上高5億円を目指すという。
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