未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>37.ヒューマンテクノロジーズ

2005/07/25 20:43

週刊BCN 2005年07月25日vol.1098掲載

指紋認証と連携する勤怠管理

 ITベンチャーのヒューマンテクノロジーズ(藤村高寛社長)は、生体認証(バイオメトリクス)のニーズの高まりを見越し、生体認証装置と組み合わせることでメリットを出すソフトを開発する。

 代表的な製品が、勤怠管理システムと指紋認証を組み合わせた「キングオブタイム」。タイムレコーダーに代わり、パソコンで出勤・退勤時間を管理するシステムだ。指紋認証と組み合わせることで、不正打刻を防止できることが特徴。出勤・退勤時刻の入力の際、パソコンに接続された生体認証装置で指紋認証を行う。

 2003年夏に発売し、飲食店などアルバイトスタッフを多くかかえる企業からの引き合いが多く、これまで7000クライアントに採用された実績を持つ。

 同社の顧客は、複数の営業所・店舗を持つ企業が多い。そこで、顧客ごとにシステムを開発して納めるのではなく、システムの運用をヒューマンテクノロジーズが代行。ASP(アプリケーションの期間貸し)サービスとして提供する。初期投資は、指紋認証装置1台で1万5800円。安価な価格で導入できるようにし、月額利用料金は1ユーザーにつき300円。

 藤村社長は、「元々顧客の強い要望から生まれたシステム。アルバイトスタッフなどの不正打刻を問題視している企業は多い。『パソコンに生体認証装置を接続するだけ、システム運用はしなくてもよい』という手軽さと初期費用の安さが受け入れられている」と、好調の理由を説明する。

 指紋認証装置は米デジタルペルソナ製品を採用。ソフトはヒューマンテクノロジーズが自社開発した。指紋認証と組み合わせた出勤・退勤入力機能のほか、シフト・スケジュール管理、申請・承認機能なども搭載している。各店舗を統括する社員がネットワークを通じて遠隔地から勤怠情報を管理することも可能だ。また、オービックビジネスコンサルタント(OBC)、弥生、ピー・シー・エー(PCA)、ソリマチが開発・販売するソフトの給与計算機能と連携させ、総務・人事部担当者の利便性向上を図った。

 藤村社長は、「生体認証と組み合わせたアプリケーションの開発に今後も力を入れていく」と話す。もっとも、「顧客の導入コストなどを考えると、市場として成立するのは指紋だけ」と、顔認証や静脈認証など他の生体認証装置を扱うつもりはない。当面は、指紋認証と連携するアプリケーションソフトの拡充に力を注いでいく。(木村剛士)
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