未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>38.サイバーディフェンス

2005/08/01 20:43

週刊BCN 2005年08月01日vol.1099掲載

脆弱性診断ソフトが人気

 情報セキュリティベンダーのサイバーディフェンス(笠川信之社長)は、「他社では扱わないニッチでユニークな製品づくり」(村松徳江・営業管理部マーケティング担当マネージャー)をモットーに製品・サービスを揃えている。

 OSの脆弱性やコンピュータウイルスの発生情報などを分かりやすく編集して提供する情報提供サービスや、擬似ハッキングでサイバーアタックの仕組みや攻撃手法を学ぶことで高い防御策を身に付けさせるセキュリティ担当者育成サービスなど、セキュリティという切り口から、ソフトのほかさまざまな製品・サービスを用意している。

 そのなかでも、今引き合いが増えているのが、脆弱性診断ソフト「ファウンドストーン」だ。今年5月中旬に起きた価格比較サイト「価格.com」のプログラム改ざん事件後、自社のシステムやネットワークの安全性に不安を抱いている企業からの引き合いが増えている。

 同ソフトは、企業の情報システムとネットワークの中に潜む脆弱性や欠陥を調べ出し、どの部分に修復ポイントや改善点があるのかを自動的に導き出す。

 それだけでなく、チェックした欠陥が実際に修復されているのかを自動で確認することができる。また、日々増えるOSの脆弱性とコンピュータウイルスの情報をネットワークを通じてリアルタイムで自動更新し、セキュリティポリシーに生かす機能も持つ。

 村松マネージャーは、「脆弱性診断ツールとしてだけでなく、情報システムとネットワークの監視・管理ツールの役割も果たす」と説明。「脆弱性を診断してレポートを出すまでは他社製品でもできるが、自動修復まで手がける製品は他社にはない」と差別化ポイントを強調しており、機能の豊富さが人気を集めている理由と話す。

 今年1月からはソフトの販売だけでなく、このソフトを活用した脆弱性診断コンサルティングサービスもスタートした。サイバーディフェンスのセキュリティコンサルタントが直接顧客のシステムを診断し、問題点を指摘する。ソフトの販売だけでなく、付随サービスも揃え、多様化するニーズに応える。

 村松マネージャーは、「ニッチな分野であってもユニークな製品づくりにこだわる方針は変わらない。流行を追うつもりはない」と強調する。

 ニーズの移り変わりが早いセキュリティ市場のなかで、先進的な“オンリーワン製品”をいち早く作ることで、大手ベンダーに対抗、他社との差別化を図る。(木村剛士)
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