IT Stock Frontline

ソフトバンクが高値更新 利益重視への転換が株価押し上げ

2005/09/05 16:04

週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載

米機関投資家、大株主に登場

 ソフトバンクが急騰、今年の高値を更新した。ヤフーBBなど通信サービス分野で顧客獲得のために巨額の資金を投入してきた同社だが、個人向けの新規顧客開拓を一部を除いて中止、利益重視の姿勢に転換することが明らかになった。

 「まず強固な顧客基盤を作る」ことを優先させ、ヤフーBBなどの顧客獲得のために年間1000億円規模の費用を投じてきた同社。投資家も夢を追う同社の姿勢を認めてはいたものの、「いつになったら黒字になるのか」というのも本音だった。利益重視の経営姿勢への転換が株価を押し上げる格好になった。

 話題になったのは、8月12日提出の大量保有報告書では、大型グロース株(成長株)への投資を得意とする米キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが、3397万6300株(発行株式数の9.67%)を保有する大株主に登場したこと。孫正義社長に次ぐ第2位株主になる。ソフトバンクへの大規模な機関投資家の買い付けは、これまで見られなかった現象だ。

 ソフトバンクは、4-6月期決算説明会で法人営業部門と個人営業部門の統合化の方針を明らかにした。ITとネットワークを活用して企業と個人をつなぎ、法人向けソリューション事業を強化する方針。また、携帯電話事業への新規参入に関連しては、携帯電話を含めた通信インフラの上に、課金・認証・決済などのプラットフォームを構築し、そのうえでポータルビジネス、コンテンツビジネスを展開する長期戦略を示した。

 ヤフーは9月末に1対2の株式分割を実施する。現在20万円台の株価は10万円台になり、流動性が一段と高まることが予想される。ちなみに、97年のジャスダック市場上場以来、12回目の株式分割になる。上場時の1株は4096株に増える計算。(有賀勝久)
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