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業績で株価に明暗 東芝、上方修正で高値更新

2005/11/07 16:04

週刊BCN 2005年11月07日vol.1112掲載

パイオニア、三洋は安値更新

 10月後半から主要企業の決算発表が本格化しているが、発表に先立って業績見通しを修正する企業が目立ち、株価が敏感に反応するケースが多い。

 好業績予想に反応したのが東芝。業績見通しを上方修正、好感買いを集めて株価は本年の高値を更新した。05年9月中間期の連結業績は売上高が前年比4.2%増の2兆9000億円(従来予想は2兆8800億円)、税引き前利益が同94%増の421億円(同200億円)に増額された。半導体を中心とする電子デバイス部門、電力・社会システム事業、医用システム事業などが当初の計画を上回るという。半導体ではデジタル家電の記憶媒体として使われるフラッシュメモリ(電気的に一括消去再書き込みが可能な半導体メモリ)が好調に推移している。一部では半導体設備投資増額の観測も浮上している。

 対照的に株価が年初来安値を更新したのが、パイオニア、三洋電機。パイオニアはDVDレコーダーなどの不振で06年3月期の営業損益が従来予想の80億円の黒字から2500億の赤字(前期は25億円の黒字)になると明らかにした。株価は04年初めの高値3300円台に対して約半値に下落している。また、三洋電機は「社内体制の見直しなどで、決算は例年より約2週間遅れて発表」となった。財務部門の責任者が経営方針を巡って辞任したこともあり、再建が難航しそうなことが投資家の売りを誘ったようだ。

 一方、米国でも7-9月期の決算発表が続いている。好業績が光ったのがグーグル。7-9月期の売上高は「検索広告」の拡大で15億8000万ドル(前年同期比96%増)と過去最高を記録、株価は上昇した。イーベイは7-9月期決算こそ予想通りだったが、明らかにされた10-12月期の見通しがマーケット予想を下回り、失望売りで下落した。大物のインテルも10-12月期の見通しが予想を下回ったことで株価は軟調に推移した。(有賀勝久)
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