未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>51.ビズ・ロジック

2005/11/07 20:43

週刊BCN 2005年11月07日vol.1112掲載

パッケージソフトメーカーに転身

 ビズ・ロジック(吉野いく代代表取締役)は、受託ソフト開発から、パッケージソフトへと転進したソフトハウスだ。

 前身会社であるソフト開発の「あるふ」時代から数えて2001年までの約20年間、顧客の要望に合わせたカスタマイズソフト開発と、データ処理サービスを主軸事業として展開してきた。

 大半の受託ソフト開発会社が、大手ITベンダーからの下請け会社としてビジネス展開するなか、同社では、「下請け中心では、エンドユーザーの要望の変化に気づきにくくなり、スキルアップも進まない」(吉野代表取締役)という理由から、ITベンダーの下請け開発には一切タッチせずにきた。エンドユーザーから直接引き受ける開発案件だけに絞り込むことに、こだわり続けてきたためだ。

 だが、「ITバブルが崩壊した00年前後に受託開発案件が激減した」(吉野代表取締役)。このためビジネスモデルの転換を余儀なくされ、01年にパッケージソフトの開発に着手。自社内で、各社員の知識やノウハウを共有できていなかった悩みに着目し、約3年間かけて情報共有ソフト「リプリー」を完成させ、04年3月にバージョン1を発売。今年7月にはバージョン2をリリースした。

 「リプリー」は、スケジュール管理など一般的なグループウェアの機能だけでなく、SFA(営業支援システム)や顧客情報管理(CRM)などを加えた情報共有ソフトで、「ITのスキルや知識をもたなくても、簡単に利用でき、どんな業種・業態のユーザーにも柔軟に対応できる自由度の高さにこだわった」(吉野代表取締役)という個性的なソフトだ。

 開発の発端は、自社の問題解決のためだったが、製造業やサービス業などさまざまな業種に受け入れられ、顧客企業は大手を中心に5社を突破した。

 エンドユーザーへの直接販売だけで営業を展開するが、今年度(06年2月期)内に導入企業は合計で10社を超える見込みだ。今では、売上高の大半をパッケージソフトの販売事業で稼ぐようになっており、パッケージソフトメーカーへと変貌を遂げた。

 来年度からは、パッケージソフトメーカーとしての地位をさらに強めるため、代理店を使った間接販売ビジネスも始める計画だ。

 今年度内にシステムインテグレータ(SI)など向けにパートナープログラムを設け、代理店が売りやすい仕組みを準備する。

 販売体制の確立だけでなく、検索ソフトなどリプリーに次ぐ、パッケージソフトも新たに開発中で、ラインアップも増やしていく。

 従業員はわずか8人と決して潤沢な開発体制を確立しているわけではないが、開発も営業も、パッケージソフト事業にリソースを集中し、来年度は今年度の10倍にあたる売上高10億円突破を目標に掲げている。(木村剛士)
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