大遊泳時代

<大遊泳時代>第96回 DVDハード・ソフト市場を大切に

2005/12/05 16:18

週刊BCN 2005年12月05日vol.1116掲載

松下電器産業 顧問 前川洋一郎

 高校のクラブの恩師が亡くなり、思い出の写真、言葉、VTR動画…が一枚のDVDに編集されて、1930円+郵便振替料70円=2000円で配られた。

 素人の編集だから下手だとの謙遜の言葉が添えられていたが、見ると、なんのなんの楽しいし懐かしいし、唄あり、詞あり、動画あり、お話しありで実によくできている。

 今はDVD読み取り機がないといけないが、いずれアルバムも全てこうなっていくのだろう。

 DVDは音も映像も自由に編集できる。アクセスも簡単、巻き戻し、選択、再生も自在である。

 何よりも場所をとらないのがいい。

 しかし、困ったことはフォーマットがいろいろあることである。HD DVDやBlu─Ray DISCという前に、しなければならないことが、まだまだあるなと感じた。

 何よりも製造コストが低いから、安価にできるとなれば、いらないものは、平気で捨てるということになりかねない。

 しかし、DVDのポリカーボネートは自然界では分解されないとのこと。困ったことである。早くDVDの再流通、静脈流(還流)の仕組みの確立を急がなくては、後世に迷惑をかける。

 もうひとつ、DVDは公正取引委員会の再販制度の対象外であり、価格は自由ということだ。乱売が乱売を呼び、ポイ捨てを助長しかねない。

 パッケージメディアは、ヒモのテープからお皿のディスクへ、なかでも映像と音のディスクはDVDに変わりつつあり、期待されているが…。

 早くも次世代規格の登場と環境保護の問題、そして、価格乱売競争の心配で業界の萎縮が懸念される。

 ハードだけでなく、ソフトも儲からなくなることは日本の産業界にとって痛手である。

 ねぇワトソン君、「まさに『イタチ』ゴッコだね!」「いやー、DVDのお皿をまわる『二十日ねずみ』ですね!」
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