IT Stock Frontline

東京市場はハイテク株が上昇

2005/12/12 16:04

週刊BCN 2005年12月12日vol.1117掲載

NASDAQ指数は4年半ぶりに高水準

ソニーは今年の高値を更新


 東京市場ではハイテク株に人気が集まっている。業績低迷から株価下落歩調だったソニーが今年の高値を更新、半導体製造装置関連のアドバンテストは3年ぶりの高値水準に上昇。松下電器産業、キヤノン、TDKといった優良株も軒並み上昇している。鉄鋼、銀行といった内需セクターに対して相対的に出遅れていたことが魅力の1つだが、もたついていた米国株市場が上昇基調を鮮明にしていることが追い風。ダウ平均は8か月ぶり、ハイテク株の比重が高いNASDAQ指数は4年半ぶりの高値水準に上昇してきた。一方では、住宅市場の過熱に沈静化の兆しが見えてきたほか、原油価格高騰も一服となり、利上げペースは鈍化する可能性が出ている。インフレなき経済の安定成長シナリオは健在で、不動産、債券といった他の資産にシフトしていた資金が株式市場に戻りつつあるようだ。米国市場と株価連動性の強いのが日本のハイテク株。収益の米国依存度が高い企業ほど連動性は高く、例えばソニーの株価上昇は米国のクリスマス商戦に対する期待感が背景にある。

 ハイテク株が軒並み上昇するなか、波乱となったのが東芝。iPodなど携帯音楽プレーヤーに使われるNAND型フラッシュメモリでは韓国サムスン電子とシェアを2分している東芝だが、米国の半導体大手インテルとマイクロン・テクノロジーが共同でNAND型フラッシュメモリを生産する新会社を設立すると発表したことで、ダメージを受けることが懸念された。

 ところで、米国市場での話題は、ネット検索のグーグルの株価上昇。昨年8月に公開価格85ドルで新規上場してから上昇が続き、ついに400ドル台に乗せた。時価総額は1100億ドルに膨らんでいる(日本企業で最大はトヨタの約1700億ドル)。7-9月期の純利益は3億8100万ドルと前年同期の7倍に増加し業績は好調。ただPER(株価収益率)は50倍を超え、警戒感も出ている。(有賀勝久)
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