IT Stock Frontline

80年代のバブルしのぐ売買高 デフレ脱却期待で06年も上昇

2006/01/09 16:04

週刊BCN 2006年01月09日vol.1120掲載

収益回復背景にハイテク株も上昇へ

 活況にわいた2005年の東京株式市場。日経平均株価は年初の1万1000円台から12月には1万6000円台に上昇した。外国人買いが過去最高水準で流入するとともに、インターネット取引を使った個人投資家の売買が一段と活発になり、1日あたりの東証売買高は30億株が当たり前と80年代後半のバブル期をしのぐ水準に膨らんでいる。

 デフレ脱却期待という背景にある材料に変化がないことから、06年も上昇トレンドが続くことになりそうだ。

 07年頃から退職期に入るといわれる団塊世代の退職金は50兆円以上とも試算される。有利な金融商品を志向する動き、また知的な刺激を求める欲求が団塊世代を株式投資に向かわせることになろう。個人投資家層の拡大は一時的なものでなく構造的なものと言っていい。米国株式市場や原油価格の動向など外部要因に大きな波乱がなければ、日経平均は00年のITバブル時に付けた高値2万882円を目指す動きとなりそうだ。

 05年は「内需主導の景気回復」が相場とあって、銀行、鉄鋼、不動産といった内需セクターの上昇が目立ち、それに比べるとハイテク株の上昇は鈍かった。しかも業績回復が遅れているソニー、半導体市況に収益が振り回されているNEC、富士通、業績低迷から脱け出せないパイオニアなどのネガティブな動きばかりが目立った。

 夏ごろから電子部品の受注は回復に転じているほか、薄型テレビ、パソコンの需要は世界的に好調。激しい価格競争が収束に向かえば、ハイテク企業は収益回復を背景にした株価上昇を見せることになりそうだ。また、個人消費回復を背景に家電量販店の業績拡大が期待できそうだ。

 06年のイベントとしては、冬季オリンピック、サッカーワールドカップが開催される。また、日米でのデジタル放送の普及拡大などが注目されよう。(有賀勝久)
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