未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>63.システムインテグレータ

2006/02/06 20:43

週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載

SE派遣にはタッチせず

 1995年設立のソフト開発およびSI事業を手がけるシステムインテグレータ(梅田弘之代表取締役)は、顧客先へのSE常駐派遣ビジネスにはタッチしない姿勢を創業以来貫いている。

 従業員は42人、売上高は約10億円(06年2月期見込み)と企業規模は決して大きくない。だが、「SEを常駐させると顧客の世話役に徹してしまい先進技術を追求できないなど、人を育てることができない」(梅田代表取締役)ことから、自社開発のパッケージソフト販売とERP構築を中心としたSI事業に経営資源を集中する。新卒採用も毎年定期的に行っており、企業の成長とともに人材育成を重視する。

 今年度の業績見込みのなか、パッケージソフト開発とSI事業の売上比率は半々。パッケージソフトは、(1)ECサイト構築パッケージ(2)ソフト開発支援ツール(3)eラーニングシステム開発ツールの3つを柱に置く。ECサイト構築パッケージは、企業がまだホームページを持っていることがまれだった96年に製品化。ネットバブルの崩壊とともに一時販売は低迷したが、それでもNTTグループやNECなどの有力ITベンダーを販売代理店として約900本を販売し、「業界トップシェア」だという。ソフト開発企業やSIer向けに販売する開発支援ツールでは、開発設計からプロジェクト管理、テストツールまでのラインアップを揃え、約6万ライセンスを販売した。

 SI事業では、梅田代表取締役が起業前に勤務していた住商情報システムで同社のERP「プロアクティブ」を企画・開発した経緯もあり、基幹業務システム構築を得意とする。「自社でERPパッケージを持つつもりはなかった」ことから、現在はインフォベックほか数社のITベンダーと共同開発したERP「グランディット」を担ぎ、システム構築ビジネスを手がける。

 来年度は、システム構築事業が好調なことから人材を約30人増やすとともに、コンシューマ向けソフト開発・販売事業にも進出する。携帯電話上で動く英語学習ソフトを今年3月までに提供予定で新領域にチャレンジすることになる。

 また、「アプリケーション開発は世界よりも日本企業のほうが上」(同)という自負を持っており、他のパッケージソフトベンダーと協力して世界市場で販売するためのコンソーシアムを今秋に結成するなど、来年度はこれまで以上に重要な年と位置づけている。(木村剛士)
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