未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>68.ビジネスオンライン

2006/03/13 20:43

週刊BCN 2006年03月13日vol.1129掲載

中小企業に会計機能のASPサービスを

 2000年設立のビジネスオンライン(藤井博之代表取締役)は、従業員数50-100人の中小企業をターゲットに、会計ソフトの利用促進を図っている。導入費用も安価で手間もかからないASPサービスこそが、中小企業が利用するには最良だと判断し、設立以来会計ソフトの機能をASPサービスとして提供するビジネスを進めている。

 創業時にリリースした主軸のASPサービス「ネット de 会計」は、ブラウザを使って会計業務を電子化する。パソコンにインストールするパッケージソフトに比べ、バージョンアップする手間もいらないし、契約する会計事務所とのやり取りもインターネット経由で行えるため、効率的に処理できる。設備投資も必要なく、パソコンさえあれば月額3000円から利用できるというメリットを訴えた。

 ただ、発売当時は思うように販売は伸びなかったという。ブラウザでの入力作業にわずらわしさを感じる企業が多かったためだ。もっとも高いハードルは、会計事務所には他社製会計ソフトがすでに導入されているケースが多かったことだ。「会計事務所が慣れ親しんでいる他社製ソフトから乗り換えてもらうことは、かなり障壁が高かった」(藤井代表取締役)。 

 こうした市場環境に対応するため、01年後半から営業戦略を転換した。従来の営業先である会計事務所や企業ではなく、全国の商工会に着目したのだ。

 現在、国内には約2800の商工会があり、会員企業は合計で約105万社にものぼる。商工会は、中小企業の経営支援施策を行うなかで、企業のIT化もサポートしており、「会員企業の会計業務のIT化支援手段を商工会は模索していた」(同)。

 同社は「ネット de 会計」を商工会に提案し、商工会が会員企業に「ネット de 会計」を薦める体制を確立。商工会が提案してくれることで、効率的な営業が行えるとともに、商工会の推薦を受けて中小企業の信頼を得た。これを契機に販売が一気に伸び、今や合計5万社への納入実績を誇る。

 この成功モデルを武器に、今後は商工会だけでなく、全国に約530ある商工会議所にもアプローチする計画。商工会と商工会議所を営業戦略の重点ポイントに置く姿勢を強めている。

 参入障壁が高い会計ソフトの市場で、ASPというサービスモデルと、独自の営業戦略でユーザー獲得を進めるビジネスオンライン。来年度(07年3月期)は、昨年度の約2倍の売上高6億5000万円を見込んでおり、一気にアクセルを踏む。(木村剛士)
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