未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>75.シスラボ

2006/05/01 20:43

週刊BCN 2006年05月01日vol.1136掲載

世界のソフトを発掘

 シスラボ(佐藤曠弌代表取締役)は、1991年の設立から3年前までコンピュータメーカーとSIerからの下請けソフト開発のみで事業展開してきた。製造・流通、金融業向けシステム構築、ソフト開発には強いものの、エンドユーザーとの直接取引はほぼゼロ。エンドユーザーからの直接受注を始めるため、3年前から新たな事業にチャレンジしており、下請け企業から脱皮しようとしている。

 社員数120人のうち、約100人は開発者。営業力不足は否めないが、それ以上の問題は「特色を出すこと」(白根晶吉・営業部国際商品戦略室室長)だったという。下請け開発のなかで、ITベンダーに自社の強みや特徴を理解してもらえても、エンドユーザーに伝わるわけではない。エンドユーザーにアプローチするための施策として同社が考えたのが、他社製パッケージを担ぎ、そのパッケージをもとにしたシステム構築事業だ。米国だけではなく、世界各国のソフトを対象に技術的に先進性のあるパッケージを探し、日本での総販売権を得るのが戦略。特徴的なのが、米国だけではなく欧州や東南アジアなどのソフトメーカーを積極活用していることだ。

 先月発売した企業内情報システムに携帯電話などのモバイル機器からアクセスできるようにするミドルウェア「スカイウェア」は、ドイツのコンラッド社の製品。ERPやデータベースなど企業内の情報システムに携帯電話から自由にアクセスできるようにするためのミドルウェアで、「日本市場では初で同等の製品はない」(佐藤代表取締役)という。このミドルウェアを特色として打ち出し、エンドユーザーへのシステム構築事業を強化するつもりだ。顧客単価はカスタマイズ開発も含め3000万円程度。発売後1年間で最低でも2億5000万円の販売目標を掲げる。

 パッケージソフトは現在、スカイウェアのほか「セキュリティ」と「インターネット」関連の2ジャンルをフォーカスポイントに、約10種類をラインアップしている。白根室長は、「年間4本ずつ新ラインアップを投入していきたい」と、これまで以上にパッケージを軸としたシステム構築事業に経営資源を集中させる。

 エンドユーザーからの直接受注を強化し始めて約3年。現状では、まだ売上高の10%程度しかないが、2年後には下請けとエンドユーザーとの直接取引ビジネスを「半々にしたい」(佐藤代表取締役)と考えている。特色のあるパッケージソフトが揃い始めただけに、営業力強化が次の課題だ。(木村剛士)
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